研究集会

「リソスフェアにおける短波長不均質構造の解明
−地球内部構造と地震発生特性の解明に向けて−」

日時:2007年9月25日(火)〜26日(水)
場所:東京大学地震研究所 2号館第1会議室
表記の研究集会を東京大学地震研究所19年度共同利用の研究集会として開催しました。

地球内部の不均質構造による地震波の散乱・伝播、特にエンベロープ形成モデル等に関する理論的研究は、最近、めざましく進展しました。 また、アレイ解析やインバージョン解析等のデータ解析手法の高度化がはかられると共に、 全国的な高密度地震観測網の整備や集中的な稠密地震観測の実施により、現実のリソスフェアが持つ不均質構造、 特に、地震波の波長と同程度の短波長不均質構造に関する研究が大きく進んできました。 さらに、震源における短周期地震波の励起についても、上記の短波長不均質構造を組み込んだ推定が行われるようになってきました。 今後は、日本列島全域にわたる広範囲、あるいは地震発生に関わるような詳細な不均質構造を推定し、 地球内部構造および地震発生場の特性を解明することが期待されます。 今年度は、特に、最近の稠密地震観測による詳細な地殻構造研究等の成果も交えて、 最新の研究成果発表および活発な討議が2日間にわたり行われました。以下に、講演プログラムおよび要旨を掲載いたします。

本研究集会の実施およびweb掲載等にご協力いただいた荻野スミ子さん、および鶴岡 弘先生(地震予知情報センター)にお礼申し上げます。 本研究集会は、東京大学地震研究所共同研究プログラム(課題番号2007-W-05)の援助を受けました。

研究集会代表者: 京都大学防災研究所 地震防災研究部門 西上欽也
所内担当者: 地震研究所 地球計測部門 山下輝夫
2007年10月15日

プログラム 会場:2号館第1会議室

9月25日(火)

13:00 はじめに

【座長:吉本和生】

13:10 飯高 隆(東大地震研)

   稠密地震観測による跡津川断層周辺の地殻構造

13:35 平松良浩(金沢大・自然科学)

   跡津川断層周辺域におけるコーダQの空間分布

14:00 西上欽也(京大防災研)

   跡津川断層周辺域における地震波散乱係数の空間分布

14:25 松本 聡(九大・理)

   福岡県西方沖震源域の不均質構造

14:50 浅野陽一(防災科研)

   地震波散乱からみた東北地方の地殻不均質構造

休憩(15分)

【座長:中原 恒】

15:30 岡田知己(東北大・理)

   宮城県北部歪集中帯の地殻構造と地震活動

15:55 三ケ田 均(京大・工)

   海洋域地殻構造探査と地震波散乱−岩石物理学的解釈との接点−

16:20 蓬田 清(北大・理)

   時間反転波形記録の逆伝搬による散乱体のイメージング

16:45 小菅正裕(弘前大・理工)

   新潟県中越地震の余震のエンベロープ波形と地殻内不均質

17:10 高橋 努・尾鼻浩一郎・神谷眞一郎・小平秀一・末次大輔・高橋成実・田村芳彦・阪口 秀(海洋研究開発機構)

   北部伊豆小笠原におけるランダムな速度ゆらぎの空間分布−火山分布及び地殻構造との関係−

○ 懇親会(18:00〜) 会場:1号館7階

9月26日(水)

【座長:河原 純】

9:00 佐藤春夫(東北大・理)

   Markov近似に基づく3次元非等方ランダム弾性媒質におけるベクトル波形エンベロープの統計的導出−ガウス型スペクトルの場合−

9:25 須崎敦史・佐藤春夫・西村太志(東北大・理)

   不均質構造における短周期地震波のエンベロープ形成(フォン・カルマン型ランダム弾性媒質)

9:50 中原 恒(東北大・理)

   エネルギー分配の観点からみたS波コーダの粒子軌跡

10:15 前田拓人(防災科研)

   コーダエンベロープのセンシティビティカーネル

休憩(15分)

【座長:蓬田 清】

10:55 河原 純(茨城大・理)

   弱い離散的不均質による弾性波の散乱減衰

11:20 村井芳夫(北大・理)

   断層破砕帯中の線震源からの波動伝播

11:45 鈴木岳人・山下輝夫(東大地震研)

   動的破壊に対する熱および流体の複合効果−断層周辺のダメージ構造生成と関連して

12:10 澤崎 郁・佐藤春夫・中原 恒・西村太志(東北大・理)

   KiK-net伯太観測点における2000年鳥取県西部地震後の浅部S波速度構造の時間変化

昼食

【座長:松本 聡】

13:30 吉本和生(横浜市立大)・中原 恒(東北大・理)・木下繁夫(横浜市立大)

   地震波干渉法による東京湾西岸部の地震基盤構造の推定

13:55 羽佐田葉子(名大・環境)

   弾性波アクロス伝達関数に含まれる波群の特徴

14:20 渡辺俊樹・古川俊之(名大・環境)

   弾性波アクロス伝達関数の時間変化と散乱体の解釈

14:45 谷島尚宏・長濱裕幸(東北大・理)

   地震波動伝播におけるソリトン波の高次微分幾何学

15:10 齊藤竜彦・古村孝志(東大地震研)

   津波の発生・伝播と散乱

15:35 終わりに