研究集会「海陸広域観測網がとらえる波動現象と地球内部不均質構造」

日時:2014年9月1日(月)・2日(火)
場所:地震研究所1号館3階会議室・2階ロビー

 本研究集会は「海陸広域観測網がとらえる波動現象と地球内部不均質構造」と題し,理論,室内実験,データ解析,数値シミュレーションによる各アプローチを得意とする研究者が互いの研究成果を持ち寄り,2日間にわたって集中的に議論しました.海陸不均質構造中での震源決定,固体−液体相互作用が生み出す地震波相や津波の発生と伝播,基盤/臨時観測・自然/人工地震による不均質構造推定やモニタリング,室内実験と数値計算で再現する散乱現象,地震波エネルギーや雑微動構成要素に関する基礎的研究に加え,緊急地震速報や土石流モニタリングなど防災研究に関する成果も報告されました.「不均質媒質中の波動現象」という共通項に対する多種多様な研究アプローチに対して,活発な議論のもと今後の研究協力の可能性を見いだすことができたと考えています.

 以下に,講演プログラムおよび要旨を掲載します.本研究集会の開催にあたってご尽力いただいた那須紀穂さんをはじめとする事務支援チームの方々,web掲載に御協力いただいた鶴岡弘准教授に御礼申し上げます.本研究集会は,東京大学地震研究所共同研究プログラム(課題番号2014-W-04)の援助を受けました.
研究集会代表者: 防災科学技術研究所 齊藤竜彦
所内担当者: 地震研究所巨大地震津波災害予測研究センター 古村孝志
2014年9月12日

プログラム

2014年9月1日(月)

13:00 はじめに
【座長 吉光奈奈】
13:05 実時間地震動予測:実データへの適用
干場充之(気象研)
13:25 高周波地震動の振幅分布から推定される土石流の発生位置と移動:2013年10月16日伊豆大島
小木曽仁(気象研)・蓬田清(北海道大)
13:45 地震波伝播の外挿を用いた緊急地震速報の改善
佐藤明日花(北海道大)・蓬田清(北海道大)
14:05 Matching filter法に基づく微小地震データベース構築
澤崎郁(防災科研)
【座長 高木涼太】
14:45 海陸データ統合による震源決定のための三次元地震波速度構造の構築
中野優・中村武史(JAMSTEC)・金田義行(名古屋大学)
15:05 海底水圧観測のための津波発生理論
齊藤竜彦(防災科研)
15:25 地殻及びマントルの運動を考慮した津波伝播の数値解析
柿沼太郎(鹿児島大)
15:45 斜面における地震観測から推定する斜面内部構造
土井一生・王功輝・末峯章(京大防災研)
16:05(ポスター紹介 3分/件 16件)
17:00 – 18:00 ポスター発表
海底ノイズ記録の自己相関関数に現れる反射S波:数値シミュレーションからのアプローチ
利根川貴志(JAMSTEC)・武村俊介(横浜市大)
地球の自己重力と弾性が引き起こす遠地津波の走時遅延と初期反転位相
綿田辰吾(東京大)
データロガー起源のコヒーレントノイズ
高木涼太・西田究・青木陽介・前田拓人・小原一成(東京大)
P波輻射特性の周波数変化
小林学・武村俊介・吉本和生(横浜市大)
九州地方における地殻の内部減衰および散乱減衰
志藤あずさ(京都大)・松本聡(九州大)
地震波エネルギーの空間分布からの散乱係数と内部減衰の推定(2)
齋藤清志郎・河原純(茨城大)・齊藤竜彦(防災科研)・江本賢太郎(東北大)
差分法による長周期コーダの再現から見積もる微細不均質構造
江本賢太郎(東北大)・齊藤竜彦・汐見勝彦(防災科研)
三軸圧縮下の花崗岩試料における破壊にともなう透過弾性波の走時の変化について
今堀敦史・川方裕則(立命館大)・高橋直樹(三井住友建設)
大型岩石試料を用いたせん断試験における二次元的な破壊の伝播の推定
土田琴世・川方裕則 (立命館大)・福山英一・山下太(防災科研)・溝口一生(電中研)
地震波干渉法による西日本における地球内部の反射面検出の試み
三輪直寛・大見士朗(京大防災研)
常時微動を用いた地震波干渉法による鳴子火山群周辺の3次元S波速度構造
田村淳・岡田知己(東北大)
沈み込む海洋性地殻の後続波
椎名高裕(東北大)
アウターライズ地震の記録にみられる特異な波群 -- 海水層が地震動に及ぼす影響
野口科子(振興会)・前田拓人・古村孝志(東京大)
大規模地震動シミュレーションに向けた曲線座標系差分法
前田拓人(東京大)
震源イメージングの点広がり関数:相反性による地震波干渉法とのリンク
中原恒(東北大)
(18:00 懇親会)

2014年9月2日(火)

【座長 江本賢太郎】
9:00 森吉で観測された後続波の波形の時間変化
小菅正裕(弘前大)
9:20 箱根火山の火山活動に伴う雑微動自己相関関数の時間変化
行竹洋平(温地研)・上野友岳(防災科研)
9:40 南アフリカのEzulwini鉱山における断層透過波モニタリングで観測された透過弾性波の変化について
川方裕則(立命館大)・ほか
10:00 差分法による実験試料内の3次元波動伝播シミュレーション
吉光奈奈・古村孝志・前田拓人(東京大)
【座長 澤崎 郁】
10:40 常時微動の相互相関関数中の実体波の特徴
高木涼太(東京大)
11:00 Body-wave extraction from ambient noise recorded by a dense array
仲田典弘(スタンフォード大)
11:20 パッシブサイスミックとイメージ領域地震波干渉法
白石和也(地科研)
11:40 海域における地震波干渉法による表面波解析およびRayleigh波のモード間変換について
竹尾明子(北海道大)・西田究(東京大)
【座長 武村俊介】
13:20 南海トラフ周辺のランダム速度不均質構造
高橋努・尾鼻浩一郎・山本揚二朗・海宝由佳・仲西理子・小平秀一 (JAMSTEC)・金田義行(名古屋大学)
13:40 関東堆積盆地の長周期地震動の卓越周期等に関する考察
吉本和生・武村俊介(横浜市大)
14:00 二重スペクトル比を用いた立山火山下の地震波減衰構造の推定
岩田晃治・川方裕則(立命館大)・土井一生(京大防災研)
14:20 警固断層周辺の不均質構造
松本聡・神薗めぐみ・中元真美・宮崎真大 (九州大)
14:40 アジョイントトモグラフィー法による地球内部不均質構造の推定
三好崇之・大林政行・東野陽子・坪井誠司(JAMSTEC)
【座長 三好崇之】
15:20 スタグナントスラブの散乱特性
竹内希 (東京大)
15:40 海洋性地殻を伝播するトラップ波の伝播特性と不均質構造
武村俊介・吉本和生(横浜市大)・利根川貴志(JAMSTEC)
16:00 多重等方共鳴散乱を考慮した輻射伝達理論
佐藤春夫(東北大)・早川俊彦(三菱スペースソフトウェア)
16:20 高密度観測による地震波動伝播の特徴とその解明に向けて
小原一成・前田拓人(東京大)・小菅正裕(弘前大)