共同利用研究集会「海洋-固体地球システムにおける波動現象と構造不均質性」
特定共同研究B「地震波形解剖学の計算科学的新展開」
- 日時:2016年8月30日(火)・31日(水)
- 会場:東京大学地震研究所 1号館 3階会議室・2階ラウンジ
本研究集会は,「海洋-固体地球システムにおける波動現象と構造不均質性」と題し,特定共同研究B「地震波形解剖学の計算科学的新展開(2015-B-01)」との共催として開催されました.地震波や音波,津波の励起・伝播過程について,理論的研究や数値計算に基づいた検証・議論が行われ,海陸の観測データを用いた地下構造の時空間変化の抽出など幅広い研究成果が発表されました.海陸の稠密な観測網を利用する取り組みとして,波動場のモニタリングと予測への応用,震源メカニズム推定や余震活動の把握などへの新たな知見や手法開発なども示されました.2016年熊本地震についても地下構造とその時間変化,応力場に関する議論など本集会と密接に関連した成果の発表・議論が行われました.海洋と固体地球を一つのシステムとして捉え,波動伝播や構造不均質の様々な研究成果を共有して議論を深めることにより,取り組むべき課題を明確にするとともに,今後の研究協力の可能性を見いだすことができました.
以下に,講演プログラムおよび要旨を掲載します.本研究集会の開催にあたってご尽力いただいた那須紀穂さんをはじめとする事務支援チームの方々,web掲載に御協力いただいた鶴岡弘准教授に御礼申し上げます.本研究集会は,東京大学地震研究所共同研究プログラム(課題番号2016-W-03)の援助を受けました.
- 研究集会代表者: 海洋研究開発機構 高橋努
- 所内担当者:東京大学地震研究所災害科学系研究部門 古村孝志
- 2016年8月30日(火)
- 13:00 はじめに
- 古村孝志(東大地震研)
- 【座長 竹尾明子】
- 13:05 地震波干渉法によるニュージランドアルパイン断層近傍のS波異方性の推定
- 高木涼太(東北大)
- 13:25 イメージ領域地震波干渉法による地殻構造探査 ~南海トラフOBS広角反射法探査データへの適用~
- 白石和也(JAMSTEC)
- 13:45 DONETで観測されたRayleigh admittanceの時間変化
- 利根川貴志(JAMSTEC)
- 14:05 繰り返し発破と雑微動の併用による地震波速度の時間変化の検出 - 桜島への適用 –
- 廣瀬 郁(東北大)
- (休憩20分)
- 【座長 椎名高裕】
- 14:45 現地計測による積雪層内の音波の伝播形態の一例
- 土井一生・大澤光(京大防災研)・平島寛行・阿部修(防災科研)・柴崎達也・松浦純生(京大防災研)
- 15:05 注水時における砂層媒質に対する弾性波高周波成分の透過実験
- 中山雅之・川方裕則・平野史朗(立命館大)・ 土井一生(京大防災研)・高橋直樹(三井住友建設)
- 15:25 天皇海山列におけるT-phase反射の数値シミュレーション
- 干畑まい・古村孝志・前田拓人(東大地震研)
- 15:45 沖合で発生する浅発地震に見られる初動発震機構解とMT解の系統的な差異:2016年4月1日の三重県南東沖の地震による検討
- 武村俊介・汐見勝彦・木村武志・齊藤竜彦(防災科研)
- (休憩15分)
- 16:20 ポスター紹介3分/件 12件
- 干渉法を用いた外洋を伝播する分散性背景津波の抽出
- 綿田辰吾(東大地震研)
- 地震波干渉法と地震波勾配法に基づく任意地点間のグリーン関数抽出
- 前田拓人・西田究(東大地震研)
- 数値計算による超低周波地震CMT解の安定性検証
- 竹尾明子・前田拓人・小原一成(東大地震研)
- 東北沖の地震の際の北海道での長周期地震動
- 野口科子(振興会)・前田拓人・古村孝志(東大地震研)
- 東北日本弧下における太平洋スラブの地震波減衰構造の推定
- 椎名高裕(北大)・中島淳一(東工大)・松澤暢(東北大)
- 別府-万年山断層帯下の不均質構造に関する研究
- 神薗めぐみ・松本聡(九大)・中元真美(極地研)・ 宮崎真大(京大防災研)
- 伊豆大島における地震波速度変化の応力感度推定ー気象庁データの干渉法解析ー
- 高野智也(東北大)
- 地震波エネルギーの空間分布からの散乱係数と内部減衰の推定:散乱係数が深さ依存性を持つ場合
- 高萩大輔・河原純(茨城大)
- 2次元ランダム媒質におけるスカラー平面波のエンベロープ
- 冨山祐司・河原純(茨城大)
- 気象庁マグニチュード(Mj)の地域性評価
- 河本洋輝・古村孝志(東大地震研)
- 関東平野における長周期地震動の生成条件
- 向井優理恵・古村孝志(東大地震研)
- 関東地方で観測されるやや深発地震のPS間エンベロープ形状の異常
- 金谷希美・前田拓人・小原一成(東大地震研)
- 17:00 - 18:30 ポスター発表
- 18:30 - 懇親会
- 2016年8月31日(水)
- 【座長 武村俊介】
- 9:00 海底水圧データ同化に基づく津波波高と海底地殻変動の分離
- 前田拓人(東大地震研)
- 9:20 変位成分による津波発生:静的成分と有限震源領域の破壊伝搬の定式化
- 蓬田清(北大)
- 9:40 動力学的断層破壊シナリオによる地震波・津波記録の理論合成
- 齊藤竜彦・福山英一・武村俊介(防災科研)
- 10:00 Eikonal散乱振幅を用いた高周波域における波形エンベロープ:輻射伝達理論と差分計算の比較
- 佐藤春夫・江本賢太郎(東北大)
- (休憩20分)
- 【座長 利根川貴志】
- 10:40 コーダ波のベクトル感度カーネルの定式化:2次元1次等方散乱の場合
- 中原恒(東北大)
- 11:00 3次元差分法シミュレーションを用いた2乗振幅のアンサンブル平均とばらつきの検討
- 江本賢太郎・佐藤春夫(東北大)
- 11:20 地殻構造のランダム不均質性による地震波の振幅のばらつき -P波とS波の比較-
- 吉本和生・小林学(横浜市大)・武村俊介(防災科研)
- 11:40 マントルの内部減衰・散乱減衰の相対的重要性
- 竹内希(東大地震研)
- (昼食 12:00 – 13:20)
- 【座長 上野友岳】
- 13:20 次元可変なパラメータ空間でのコーダ波解析:東北沖アウターライズへの適用
- 高橋努(JAMSTEC)
- 13:40 東北地方太平洋沖で発生する地震の波形の複雑さとその要因―震源決定精度向上を目指して―
- 小菅正裕(弘前大)
- 14:00 海底および陸上稠密地震観測から得られた北海道南部のP波およびS波速度構造
- 村井芳夫・勝俣 啓(北大理)・高波鐵夫(カーネギー研)・ 渡邊智毅(マリン・ワーク・ジャパン)・山品匡史(高知大理)・ 長 郁夫(産総研)・田中昌之(気象研)・東 龍介(東北大理)
- 14:20 熊本地震震源域周辺の地震波速度構造
- 志藤あずさ(九大)
- (休憩20分)
- 【座長 志藤あずさ】
- 15:00 2016年熊本地震周辺域の不均質な応力場と構造
- 松本聡(九大地震火山セ)・山下裕亮(京大防災研)・中元真美(極地研)・ 宮崎真大(京大防災研)・酒井慎一(東大地震研)・飯尾能久(京大防災研)・ 2016年熊本地震合同地震観測グループ
- 15:20 2016年熊本地震前後における地震波速度構造の時間変化
- 上野友岳(防災科研)
- 15:40 M7.3熊本地震に伴う誘発地震:地震動即時予測の観点から
- 干場充之・小木曽仁(気象研)
- 16:00 データ同化と輻射伝達理論を用いた長周期地震動の即時予測:鳥取県西部地震・十勝沖地震・新潟県中越地震の例
- 小木曽仁・干場充之(気象研)
- 16:20 連続地震波形記録を用いた余震活動の把握と予測
- 澤崎郁(防災科研)・中原恒(東北大)・汐見勝彦(防災科研)