第3回 TeX/プレゼンテーション

実施日:1996年6月27日




目次
● LaTeXの書き方
  1. LaTeXの流れ
  2. LaTeXの基本構成
  3. アブストラクト、箇条書きの書き方
  4. 数式の書き方、数式の参照の仕方
  5. 表の書き方
  6. 図のための空白記述
  7. ポストスクリプト図のTeXへ取り込み
  8. 章、節、小節の参照の仕方
  9. 参考文献
PowerPointによるプレゼンテーション

● LaTeXの書き方

  1. LaTeXの流れ
    ★TeXの原稿作成(環境設定)
     テキストを整形する環境を設定する。
     これらを制作するには馴れたエディタで作ってください。
     文章をsaveするときは拡張子に.texとつけること。(例:ronbun1.tex)

       本文の例


        ¥documentstyle{jarticle}
              ...(日本語)学会論文誌の形式であることの宣言文
         ¥begin{document}         ...{}内は環境設定
           :(本文)
         ¥end{document}

    ★TeXのコンパイル
     ▽UNIXの場合

         jlatex ファイル名(.texを取った部分)

        例)原稿のファイル名がronbun1.texの場合
           jlatex ronbun1
          となる。

     ▽WINDOWSの場合

         TEXをかける。(Win tex)をクリックする。


     コンパイルをすると拡張子が.dvi, .log, .auxという3つのファイルができる。
     .dviという拡張子がついたものが本文。

    ★プレビューア
     できあがった文章をビューアでみてみるには...
     ▽UNIXの場合

         xdvi ファイル名(.texを取った部分)

        例)コンパイルされた原稿のファイル名がronbun1.dviの場合
           xdvi ronbun1
          となる。

      ▽WINDOWSの場合

         TEXをかけてプレビューアをクリックする。

    ★印刷
     できあがった文章を印刷するには...
      ▽UNIXの場合

         jdvi2kps ファイル名(.texを取った部分) | lpr -Pプリンター名

        例)コンパイルされた原稿のファイル名がronbun1.dviを
          プリンター名spに出力する場合
           jdvi2kps ronbun1 | lpr -Psp
          となる。

     ▽WINDOWSの場合

         TEXをかけて印刷をクリックする。

                             ⇒

  2. LaTeXの基本構成
     LaTeXで書くとどうなるのか一例をお見せしましょう。
     
    は論文形式のものです。
     実行例はこちら
                             ⇒
  3. アブストラクト、箇条書きの書き方

    多くの場合、論文にはアブストラクトがはいります。アブストラクトの場合には環境設定をabstractとします。つまり

       ¥begin{abstract}
         :(アブストラクト文)
       ¥end {abstract}

    となるわけです。
    次に箇条書きの書き方です。箇条書きで頭に●をつける場合の環境設定はitemizeです。つまり

       ¥begin{itemize}
        ¥item (その1)
        ¥item (その2)
        ¥item (その3)
          :
       ¥end {itemize}

    と書けば箇条書きにしてくれます。箇条書きの文頭には記号、番号、ラベルなどが使えます。
    例をみてください。


       ¥documentstyle{jarticle}
       ¥begin{document}
       ¥begin{abstract}
       今日の講習会のテーマはLaTeXを使って上手に論文を書こう!です。ワープロを使って書いているからそんなめんどうなことはしたくないですって?!いやいや、ワープロよりずっと便利な機能がたくさんあるんです。論文を書くならLaTeXがお薦め!さーて、今日のメニューは
        ¥begin{itemize}
         ¥item アブストラクトの書き方
         ¥item 数式の書き方
         ¥item 表の書き方
        ¥end{itemize}
       です。おたのしみに!    ¥end {abstract}
       ¥end{document}

      これを実行すると
       今日の講習会のテーマはLaTeXを使って上手に論文を書こう!です。
       ワープロを使って書いているからそんなめんどうなことはしたくないで
       すって?!いやいや、ワープロよりずっと便利な機能がたくさんあるんで
       す。論文を書くならLaTeXがお薦め!さーて、今日のメニューは
         ●アブストラクトの書き方
         ●数式の書き方
         ●表の書き方
       です。お楽しみに!

      となります。
                             ⇒
  4. 数式の書き方、数式の参照の仕方

    1行の数式の記述の場合は環境変数はequation、複数行の数式の記述の場合は環境変数はeqnarrayとなります。 つまり

       ¥begin{equation}
         :(数式の記述)
       ¥end {equation}

    または

       ¥begin{eqnarray}
         :(数式の記述)
       ¥end {eqnarray}

    本文中で、今までに記述した数式番号を参照したい場合には参照すべき式にラベルを付けておきます。ラベルの設定は以下のようにおこないます。

       ¥label{eqn:a1}

    一方、参照する側では

       ...、式(¥ref{eqn:a1})は、次のようになる。

    のように参照して行きます。

    例:
      ここでの環境変数leqnoは数式番号を左端に出力することを意味する。
      デフォルトは右端。


       ¥documentstyle[leqno]{jarticle}
       ¥begin{document}
         :
       ¥begin{eqnarray}
       ¥varphi(x) &=&¥sum_k¥alpha_k¥sqrt{2}¥varphi(2x-k),
       ¥nonumber¥¥
       ¥psi(x) &=&¥sum_k¥beta_k¥sqrt{2}¥varphi(2x-k),
       ¥nonumber¥¥
       ¥beta_k &=&(-1)^k¥alpha_{1-k},
       ¥label{eqn:aho1}
       ¥end{eqnarray}
       従ってスケーリング関数$¥varphi$を求めることが必要で有り,実際の計算は
       Miccelliらの算法を用いて行うが,以下に原理を簡単に述べる.¥par
       式(¥ref {eqn:aho1})の関数$¥varphi(x)$,$¥psi(x)$にフーリエ変換をすると,
         :
       ¥end{document}


      実行例は
    こちら
                             ⇒
  5. 表の書き方
    表を作成するために以下の2つの環境がある。
     ▽ tabbing環境:各項目を列に並べるような簡単な表の作成
     ▽ tabular環境:罫線を含んだ複雑な表の作成
    ここではtabular環境の説明をする。tabbing環境については参考書をみてください。
    tabular環境の設定は以下のようにします。

       ¥begin{tabular}[<位置の指定>]{<項目の様式指定>}
        <テキスト> & <テキスト> & ... & <テキスト> ¥¥ ¥hline
        <テキスト> & <テキスト> & ... & <テキスト> ¥¥ ¥hline
             .................................
        <テキスト> & <テキスト> & ... & <テキスト> ¥¥ ¥hline
        ¥end{tabular}

    ここで <位置の指定>は表を現在の行のどこへ挿入するかを決めるための引数を指定するところです。
    tabular環境における項目の様式指定のコマンドは以下のとおり。

    コマンド意味
    |表の高さいっぱいの罫線を引く
    ||表の高さいっぱいの2重の罫線を引く
    l列の項目を左寄せ(left)にする
    c列の項目を中央(center)にする
    r列の項目を右寄せ(right)にする
    p{<幅の寸法>}列の項目の幅の長さを指定する
    @{<文>}すべての行に文を挿入
    @{<数>}{<項目の記述>}複数並んでいる同じ様式の列の記述

    例を一つお見せしましょう!

       表¥ref{tab.opt}に示す.GEM法が演算回数からも誤差の点からも,
       優れていることがわかる.
       ¥begin{table}[htb]
       ¥caption{Douglas法と GEM法及び最適法の演算回数と誤差}
       ¥label{tab.opt}
       ¥begin{center}
       ¥begin{tabular}{lcc}¥hline
       {方法} & { 誤差 } & {演算回数 } ¥¥ ¥hline
       Douglas & 0.925E3 & 141回 ¥¥
       GEM法 & 0.803E3 & 100回 ¥¥
       最適法 & 0.798E3 &165640回 ¥¥¥hline
       ¥end{tabular}¥end{center}
       ¥end{table}
      
    実行例とそのソースはこちら
                             ⇒
  6. 図のための空白記述
    論文に図を挿入する場合(あとで写真などを張り付けるような場合)、図の見出しを書いて図の範囲を 空白であけておくことができます。
    図を書く場合の環境変数はpictureです。図を描く環境を設定するには以下のように書きます。

       ¥setlength{¥unitlength}{<寸法>}
       ¥begin{picture}(<横の長さ>,<縦の長さ>)(<原点のx座標>,<原点のy座標>)

    図の見出しを書くには

       ¥caption[<リストエントリー>]{<図の見出し>}

    数式の場合と同様に、図にも参照ラベルをつけることができます。その場合には

       ¥label{<図の参照ラベル>}

    とします。
    最後に図を入れる範囲の空白記述ですが、それは以下のようにします。

       ¥makebox(<横幅の寸法>,<位置の指定>){}

    以下にその利用例を示します。


       この方法は, 前もって許容範囲$¥tau$を決めておき,図¥ref{fig.Dou}に
       示すように,
         :中略
       ¥begin{figure}[hbt]
       ¥setlength{¥unitlength}{1mm}
       ¥begin{picture}(100,75)
       ¥makebox(90,70){ }
       ¥end{picture}
       ¥caption{ Douglas法によって40点から間引いて7点 を残した場合の例}
       ¥label{fig.Dou}
       ¥end{figure}
                             ⇒
  7. ポストスクリプト図のTeXへ取り込み
    LaTeXでは、簡単にポストスクリプトの図を本文中に挿入することができる。
    たとえばMATLABで書いたグラフをLaTeXを使って本文に取り込んでみましょう。

    ▽ まず、グラフをEPS(Encapsulated PostScript)形式にします。

       print <ファイル名> -dps2

      ここではファイル名をerf1とします。
    ▽ TeXの書法
       ¥documentstyle[epsbox]{jarticle}
       ¥begin{document}
       ¥begin{figure}
       ¥begin{center}
       ¥epsfile{file=erf1,height=5cm,wo¥idth=10cm}
       ¥end[center]
       ¥caption{example of MATLAB}
       ¥end{figure}
       ¥end{document}

                             ⇒

  8. 章、節、小節の参照の仕方
    本文中で章や節を参照する仕方です。数式や図の時と同様に章や節にラベルをつけます。

       ¥chapter{章、節、小節の参照の仕方}¥label{chap:chapsec}

    この場合、「章、節、小節の参照の仕方」という章にchapsecというラベルをつけました。 一方、参照する側は"¥ref"コマンドを使います。

       第¥ref{chap:chapsec}章で述べたように....

    というようにして参照します。

    例を示します。


       ¥subsection{両直交(Bi-orthogonal) Wavelet 変換}¥label{sec:bi}
       前節でのDaubechiesのWaveletはコンパクト・サポートで正規直交性は
       みたしているが,対称でない.
       $$<<¥mbox{中略}>>$$
       {¥bf 1. 圧縮率を変えてみる数値実験}¥par¥bigskip
       $$<<¥mbox{中略}>>$$
       このデータに対して圧縮率を$0.05$から$1$まで変え誤差の様子をみた.
       Wavelet変換はつねに同一の,正規直交なDaubechiesの$2$次Wavelet
       (以下$D_2$と記す)を使用した.
       一般にこのDaubechiesのWaveletは,¥ref{sec:coi}節,¥ref{sec:bi}節でも触れたが,
       Daubechiesの正規直交Wavelet基底は対称でない.一般に対称でないWaveletを
       使った場合に,正順,逆順に間引いた結果に違いが出てくるはずである.

                             ⇒

  9. 参考文献
    「楽々LATEX」 野寺隆志著 共立出版株式会社
                             ⇒

PowerPointによるプレゼンテーション


PowerPointというソフトを使うと簡単にプレゼンテーション用のスライド(
)ができます。ここではその作り方について説明します。
  1. メニュー(ウインドウの上の方)の「ファイル」から、新規作成を選ぶ。(起動直後の場合、「新しいプレゼンテーション」を選んでOK。)
  2. 「標準」の「新しいプレゼンテーション」でOK。
  3. 「標準レイアウト」から、上から2番目、一番左の、「テキスト&グラフ」でOK。
  4. タイトル、テキストを入力する。
  5. グラフをダブルクリックして、データを入力する。デフォルトでは棒グラフが描かれる。
  6. グラフをアクティブにして、(グラフが黒っぽい線で囲まれる)マウスの右クリックで現れるメニュー、あるいはウインドウの上のメニューの書式からオートフォーマットを選び、グラフの書式を決める。
  7. 必要に応じて、グラフの各部を右クリックして編集する。また、上のメニューの「表示」から「データシート」を選ぶことにより、データを編集する。
  8. グラフが完成したら、選択を解除する。(グラフが黒っぽい線で囲まれていない状態にする)
  9. 右クリックメニューか、上のメニューの「テンプレートの適用」で、バックの絵を選ぶ。
  10. 同じメニューの「スライドの配色」「スライドの背景」を選び、設定する。
                         ⇒
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