東京大学地震研究所地震予知情報センター

☆☆☆ トルコ・イズミット地震特集 ☆☆☆

トルコ・イズミット地震に関する国内外の情報をまとめてあります.

NEW11月12日Mw7.1の 地震が発生しました.


概要

 トルコ北西部で17日午前3時(現地時間)にM7.4の大地震が起こり, 工業都市イズミットとその周辺部に大規模な被害が発生した. 震源から100km離れた観光・商業都市イスタンブールでも数十のビルが倒壊した. イズミット市内の石油精製所では大規模な火災が発生し,鎮火に時間を要した. 死者は15135人以上,負傷者は23983人以上に及んだ(9月6日現在の被害状況). 未明の地震だったため,就寝中の住民多数が建物の崩壊により被災した. 救助のため日本や欧米各国から多数の緊急援助隊が派遣された.

 震源地となった都市名をとって,イズミット地震と呼ばれる. 2.6mの右横ずれ変位を示す地表断層がIzmit GulfとSepanca Lakeの間に出現した. 余震域は本震の震央から東西へ伸び,約150kmの範囲に広がる. メカニズムは,長さ120km,幅20kmの断層面上での右横ずれ運動と推定される.断層面は東西方向に走向をもち,鉛直に傾斜する.断層のすべり量は3mと推定される.

 トルコ北部には,ほぼ東西に1200kmにわたって北アナトリア断層が走り, 今回の地震はその活断層の西端付近で起きた. この断層はトルコをのせたマイクロプレートと北側のユーラシアプレートの境界であり, プレートテクトニクスでいうトランスフォーム断層に属する. 北アナトリア断層の動きは右横ずれであり,今回の地震も同じ右横ずれの断層運動を示す. この断層沿いでは過去に被害地震が多発している. 1939年にはこの断層の東端でM7.8の地震が発生し,犠牲者は3万人を超えた. 最近では1992年にやはり断層東端のエルジンジャン付近でM6.8の地震が発生し,498人の死者が出た.

 北アナトリア断層では,1939年の大地震が断層の東側で発生してから, 続いて42年,43年,47年と震源が西に移動する形でM7クラスの地震が起こった. さらにその西側で57年と67年にM7クラスの地震が起こった. 断層の西端付近では過去に大地震が発生していないことから,大地震の発生が懸念されていた. 今回の地震はまさにそこで発生した.【文責 阿部勝征】

震源情報

震源過程

EIC地震学ノート No.62 8月17日トルコの地震(Ms 7.8)[改訂版]
IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録のうち,15地点のデータ(P波上下動15, SH波5)を用いて震源過程を求めています.暫定解で求めた単発の主破壊に加えて,小さな初期破壊と,30〜40秒遅れの孤立した破壊が得られました.
Spatiotemporal Distribution of Source Rupture Process
強震記録と遠地記録の同時インバージョンにより震源過程の時空間分布を求めています.

CMT解

ハーバード大
地震研究所
アメリカ地質調査所

データ

●高感度広帯域地震計による波形   |上ノ国(北海道)| |筑波(茨城県)| |白木(広島県)|
   日本国内で記録された地震波形(3成分,速度波形)をみることができます.
Jarrayにより収集された波形 |波形表示|
●トルコのMinistry of Public Works and Settlementによる強震計記録
Izumit(震央)とSakarya(東 40km付近)の強震記録をみることができます.
|加速度波形| |速度波形| |変位波形|

地震活動

余震活動

米国地震情報センターNEICの震源情報より
地震直後約1日間の余震分布です.データは,米国地震情報センターNEICの 震源速報QEDの暫定値で今後変更される可能性がありますので,ご注意下さい. 本震は☆でプロットしています.
IDC(International Data Centre)の震源情報より
地震直後約1日間の余震分布です.データは,IDCが決めた震源から 読みとり値が 10以上あった震源のみをプロットしてあります. 本震は☆でプロットしています.
KOERI(Bogazici University Kandilli Observatory & Earthquake Research Institute)による余震情報へのリンク

トルコの過去の被害地震

宇津徳治先生の「世界の被害地震の表」(紀元前3000年から1998年まで)から トルコの過去の被害地震(M6以上,死者100人以上)をリストしたものです.

リンク集

Last Update: 1999/09/13


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