国立大学観測網地震カタログ(JUNEC)の紹介

地震予知情報センターでは,北海道大学,弘前大学,東北大学,東京大学地震研究所,名古屋大学,京都大学防災研究所,高知大学,九州大学,鹿児島大学により運営されてきた地震予知観測情報ネットワークの観測網で得られた再検測地震データを統合処理し,「国立大学観測網地震カタログ(JUNEC)」を公開しています.現在1985年7月から1995年12月までが刊行されています.

 同一の地震に対する複数の機関の読み取りデータを統合するために,各機関が決定した震源座標および発震時の差がそれぞれ2度および60秒以内にある地震を同一とみなして再決定を行っています.震源決定は (1)震源を決定した機関が1つ以上.(2)P波の読み取りデータが5点以上ある場合に行い,最小自乗法を用いて決定しています.カタログには,震源を決定した地震のうちで,(a) 震源座標の誤差が50km以下.(b) 走時残差の根自乗平均が1.0秒以下.(c)マグニチュードが2.0以上.(d) 震央の位置が北緯25-48度,東経125-148度以内の地震を掲載しています.

 図1にJUNECによる1994-1995年に発生した地震の震央図を示します.決定された地震の総数は42,875個です.三陸はるか沖地震,兵庫県南部地震,喜界島近海地震による活動などが顕著に見られています.
図1JUNECカタログによる1994-95年の震央図

 JUNECの震源リストについては,FTP および WWWにて公開されています.関連するURLは以下です.

(a) ftp://ftp.eri.u-tokyo.ac.jp/pub/data/junec/
(b) http://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/CATALOG/junec/
(c) http://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/db/junec/index-j.html
(c)では,カタログの検索および可視化を行うことができます(EICニュースレターNo.2参照).また,読み取り値については地震研究所共同利用のデータ及び資料の利用条件に従って,申請があった場合に提供を行っています.データ提供の手段は,これまでテープ媒体(8mm等)を利用していましたが,ユーザの利便性を考慮して,カタログのCD-ROM(図2)を作成して配布する予定です.このCD-ROMには1985年7月からのデータがすべて含まれています.


 1997年9月より国立大学や防災科技研,自治体などの地震観測データも気象庁において一元化処理され震源決定が行われていますので,JUNECは,気象庁震源とのデータの比較検討ができるように1998年まで再決定を行う予定です.なお,JUNECについてのご質問等は, 情報センターまでお知らせください.