EICニュースレターNo.2


本号の目次
新年のあいさつ(菊地正幸)
ホームページから(鷹野澄)
オンラインによる広帯域地震波形データの利用(山中佳子)
WWWを用いた地震活動解析ソフトの紹介〜TSEIS for WWW(鶴岡弘)
使って便利なソフトウェア(2)〜Mathematica 3.0(桧山澄子)

新年のあいさつ

地震予知情報センター長菊地正幸
情報センターご利用の皆さまあけましておめでとうございます

いまやデータ流通や処理方式の多様化は、地震科学の分野においても、ますます大きく進展しています。折しも今年は、情報センターにあっては汎用計算機やワークステーションの更新の年度にあたります。

限られた予算の中で、処理能力・使い易さ・多様性などを最大限追求すべく、情報センター内で調査や勉強会を始めたところです。今後は皆さんのご要望などもお聞きしながら更新作業を進めていきたいと考えています。

ご協力のほどよろしくお願いします。


ホームページから

今回は、地震研の所内向けホームページの中から一つ紹介します。また、地震研の外のホームページからも一つ紹介します。

「RAのページ」(所内向けのページです)
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/RA/indexj.html
昨年度と本年度のRAの人達が、地震研究所の情報処理環境整備のために作成したホームページです。新しいパソコンやワークステーションを購入した際にお勧めの各種のソフトウェアについてのアドバイスが満載された非常に有用なホームページです。新しいマシンを購入した方は、ぜひ一度ご覧になって下さい。すでに、マシンを購入した方も、最新のソフトの情報の入手などにご活用下さい。

「余震の確率評価手法の試案公開と意見募集のページ
http://www.jishin.go.jp/main/yoshin/iken.html
地震調査研究推進本部の地震調査委員会の余震確率評価手法検討小委員会(委員長阿部勝征本センター教授)による委員会報告と、それに基づく余震の発生確率評価手法の試案についての意見募集のページです。これまでは、このようなオープンな形での情報公開と意見募集は、ほとんどなされていなかったように思います。インターネットの普及によって、このような事が可能になったということの意味は大きいと思います。このような流れを定着させるためにも、多くの方が意見を出していただく事が重要でしょう。ぜひご覧になって、ご意見を投稿されることをお勧めします。

オンラインによる広帯域地震波形(イベント)データの利用

地震研究所では、さまざまな地震波形データの提供を行っています。今回紹介するのはアメリカのIRISデータマネージメントセンターと協力して行っている広帯域地震波形(イベント)データの利用についてです。

gopherシステムによるイベント波形データ

これまでtaka.eri.u-tokyo.ac.jpで動いていた米国IRISデータマネージメントセンターのspyder(旧gopher)のシステムを、このほど
dmc.eri.u-tokyo.ac.jp
に移動しました。

このシステムでは、IRISで収集している世界中の観測点の広帯域地震計の波形データが地震発生から数時間後には入手できます。地震後1週間くらいすると大きな地震に対しては数十点の観測点のデータが入手できます。

ログイン名はgopherでパスワードはiris_gutsです。初めて利用する場合には名前を登録する画面がでてきますので、連絡先等を正確に入力してください。ログインすると、下のようなメニューがでてきます。

MAIN MENU
O) General Information about Gopher
1) Search current Event Catalog
2) List information for selected event
2 l) List log of station calling for selected event
3) Review traces with SAC
4) Define data to down-load and its forrmat
5) Set up and down-load trace data from private directory.
6) Display CMT solution
m) Mail a comment or problem to the gopher staff
r) Station response information
s) Detailed station information
7) or q) Exit or quit
Type a number:

なおこれらの波形データは震源速報によって収集されたデータです。

WWW版gopherシステムによるイベント波形データ

最近のイベントでデータ収集が行われたものについて、WWW上でもデータをダウンロードすることができるようになりました。アドレスは
http://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/badger/event.html
です。それぞれの地震に対し、どの観測点のデータがとれているかがわかり、それを見ながら必要なデータを選んでダウンロードすることができます(鶴岡氏作成)。データの中身は上記のgopherシステムを利用した場合と同じです。

IRISFARMデータ

lRISのイベント波形データです。上記のgopherのデータは速報的なもので、電話等の回線で地震後すぐに回収可能な観測点のみのデータですが、FARMはIRISが収集する全観測点のイベント波形データです。これらのデータは今のところ、1977年から1996年までです。地震研究所海半球センターで管理しています。これらのデータは、地震研のanonymous ftpサイトから入手できます。
ftp://ftp.eri.u-tokyo.ac.jp/pub/data/iris/
anonymous ftpを利用する際、パスワードには必ず自分のE-mailアドレスを入力してください。なお詳しくは海半球観測センターニュースをご覧下さい。

  www版gopherシステムでは波形表示もできる


WWWを用いた地震活動解析ソフトの紹介(TSEISforWWW)

このシステムは、インターネット上で普及してきたWWWを用いて、地震カタログデータベースにアクセス、地震活動解析を行い、その結果を可視化するシステムです。1号に紹介したTSEISのWeb版といったところです。ワークステーションに限定されずWindowsやMacなどからも利用できます。
TSEISforWへAAA'のアドレス
http://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp:8000/tseis/

システム概要

本システムは、
1)WWブラウザ
2)WWWサーバ
3)CGlスクリプト
4)地震活動解析ソフト
から構成されています。3)のCGlスクリプトはperlで記述されており、検索条件をもとに、4)の地震活動解析ソフトを起動、htmlファイルを動的に生成する仕事を行っています。また、4)の地震活動解析ソフトは、解析結果をWWWブラウザ上でインライン表示ができるGIFフォーマットの画像を直接生成するため、ユーザに対して高速に解析結果が表示されます。

機能

ワークステーション版に比べると機能は少ないですが、
・M干地震マグニチュードの時間的変化の表示
・N・T:地震累積数の時間的変化の表示
・bValue:地震規模別頻度分布図+b値の計算
・NS+EW:断面図表示(水平方向/鉛直方向比は任意に設定可能)
・F-T:任意の時間幅に対する地震数の表示
・MEC:メカニズム(P軸、丁軸、震源球)表示
・数値データの出力(このデータフォーマットはTSEISで読み込み可能フォーマットです。)
・PDFファイルの出力の機能があります。
*PDFファイルの表示はフリーで提供されているAdobe社のAcrobatReaderをインストールして利用します。きれいなプリンター出力が可能になりますが、システム利用には必須ではありません。

システム利用方法

1)データベース選択
気象庁、防災科学技術研究所、ハーバード、lSC、国立大学観測網カタログから選択
2)検索条件設定
時間、領域、深さ、マグニチュードの条件を設定する。(半角英数で入力してください。)
3)震央表示
4)各種解析表示
M-T、N-T、断面図、メカニズム、数値データ出力..という順に行います。検索条件はWWW上のフォームに入力を行うだけで、後の処理は生成されたリンクをマウスでクリックするだけになっていますこのシステムは、フレーム機能を利用しないバージョンもありますが、高解像度のディスプレイ(1024x768以上)を持っている場合には、フレーム機能を利用したバージョンをご利用になるとよりスムーズな解析ができます。下の図はフレーム機能を利用したバージョンの利用画面を示しています。画面左が条件設定、画面右がその解析結果となっています。


使って便利なソフトウェア(2)〜Mathematica3.0

現在、EICに入っていますMathematica3.0は教育用計算センターからネットワークライセンス契約で導入したものです。利用法は、eics??(eicでなくとも良い)で使うことができます。mathとキーインするとコマンドモードのMathematicaが走ります。mathematicaとすると、パレットをつけた画面モードのMathematicaが走ります。Mathematica3.0でおすすめしたいのは、このパレット部分です。

Mathematicaはカーネルと入出力をつかさどるフロントエンドの2つの部分がありますが、バージョン3.0になってから、このフロントエンド部分が大幅に機能アップしました。パレットを使って計算したい部分をクリックして行けばよいので非常に便利です。MicrosoftのWordを使っている方はすぐうなずけることでしょう.例えば∫(1/x3-64)dxを計算する場合を考えてみましょう。mathematicaとキーインして図1のパレットがでてこない場合には、fileのpalettesのBasicinputを選択することで、パレットを画面に出します。次に、いよいよ計算ですが、まず記号∫をクリックします。次に■/□をクリックし、分子、分母に目的の式を書き、shift+enterをすれば、図2の計算が得られます。


これをlntegrate[1/(x〈^3-64),x]とキーインしなければならないというのと比較すればいかに便利かおわかりいただけるでしょう。

積分はlntegrateで、微分がDとキーインするのに比べてずっとミスが少ないと思いませんか。パレットなどカッタルイとおっしゃる方には、キー操作で省略形を使う方法もあります。前記の積分の例では、エスケープキーを使って、ESC+int+ESCとすると積分記号が表示されます。つぎに1をキーインし、CTRLキーを押しながら/を押すと1/■が表れるという次第です。また、パレットには計算パレットがあり、今まで因数分解をするときに、いちいちFactorとキーインしていたのですが、計算メニューでAlgebraic Manipulationsを選択し、その後Factor[■]をクリックすることで、計算ができます。計算パレットは、fileのpalettesであらわれます。今まではミススペルや、うろおぼえのオペレーションで苦労しましたが、その点大幅に改善されています。詳しくは、
The MATHEMATICA Ver.3, Stephen Wolfram,1997
をご参照下さい。
←図1 記号入力パレット               ↓ 図2 積分の計算


付録

1998年の干支はトラですが…
当センターには熱烈なタイガースファンが約2名、ベイスターズファンが約1名います。それぞれ、
”ベイを食って最下位を免れよう”
”虎を退治して優勝を狙う”
といきまいてます。さて最後に笑うのはどちらでしょうか。

こたえ:最後に笑ったのは、そうです!ベイスターズで〜す。