EICニュースレター No.11

本号の目次
ありがとう、ごきげんよう!感謝と希望のうちに(瀬川 眞佐子)
新しいEIC計算機システムの利用方法(鷹野 澄)
RAの部屋〜(梅村 恒/趙燕来)




ありがとう、ごきげんよう!
感謝と希望のうちに

地震予知情報センター 瀬川 眞佐子



人は誰でもすばらしいタレントをたくさん持っている。表に現れているタレントもあるが、気づかれずにその人の奥深くに眠っているタレントもある。新しいことを試みるとき、いろいろな人たちとの出会いを通して自分を見つめるとき、自然の中に身を横たえるとき、そのタレントは長い眠りから覚め、その人の中で息づき始める。この目覚めたタレントの存在にその時まで気づかなかったことを驚きながらも、発見した喜びにこころは弾んでくる。タレントといっても他人から見てすばらしいものだけを指すのではなく、その人の人生の奥行きを深めるもの、人格の味付けをするもの、それがタレントではないだろうか。

私の人生の半分である30年という長きにわたり、私のタレントを目覚めさせ、育んでくれた地震研究所にたいへん感謝している。また、長いときの流れの中のほんの一瞬の、今という時をともにしたすべての人々に対して、出会えた喜びと感謝の気持ちでいっぱいである。会社勤めをしたことがない私には他の職場のことはわからないが、ここの職場は、良い意味でおおらかで個性を殺さないところ、少し横から見れば、マイペースで仕事ができる部分があるところではないだろうか。この良いところもそうでないところも、この長い歳月の間にすっかり身に付いてしまった。これからはこの経験を大いに生かし、自己開発に役立てたいと思っている。

人は誰でも地球滞在時間に限度がある。長いか短いかは個人差によるが、いつ期限切れになるかは誰もわからない。わからないだけにその滞在時間を大切に思う気持ちは強く、今まであたためてきた夢を現実にしたいという思いになってくる。これからは希望を糧にし、老眼で近くが見えにくくなった目を遠くに向けて歩んでいきたい。

世界のどこかでお会いできる日を楽しみに、ごきげんよう。





瀬川真佐子さんへ EICメンバーからひとことずつ

これからも「しなやかな生き方」をされるとか.見習いたい先輩です(S.H)
院生時代からのお世話に感謝申し上げます(K.A)
あたためられた夢,ぜひ咲かせて下さい(M.K)
長い間大変お世話になりました(K.T)
スランプを救ってくれた心広い瀬川さんの考え方に感謝! (Y.Y)
短い間でしたがお世話になりました(H.T)
また、お顔を見せてくださ(H.K)
大変お世話になりました。夢の実現に向けて頑張ってください(J.F)




新しいEIC計算機システムの利用方法

この3月1日より情報センターのホスト計算機システムがシリコングラフィック社(SGI)のCRAY Origin2000システム(ホスト名eic)に更新されました.新システムは,64個のR10000プロセッサ(250MHz)と,32GBの共有メモリからなる共有メモリ型の並列計算機です.オペレーティングシステムは,SGIのIRIX6.5です.

新システムでは,Fortran77,Fortran90,Cの各コンパイラによる自動並列化,NQSによるバッチジョブの投入,LibSciに相当するSGIの数値計算ライブラリsgimath,sgimath_mp(並列化版),IMSL相当の数値計算ライブラリや MATLABなどがありこれまでのCRAY CS6400システムとほぼ同様の利用方法が可能です.

ただし,CPUタイプとOSが違いますのでプログラムはコンパイルしなおす必要があります.また提供されているライブラリがこれまでのものと異なるものについては,利用方法に違いがないかを確認して頂く必要があります.

新しい機能としては,OpenMPによる並列化,MPIとPVMなどによるメッセージパッシング型の並列化が可能です.また試験的に導入した有限要素法のパッケージANSYSや, 計算結果の可視化ツール AVS/Express Viz(これはeicst,eicXXでのみ利用可)などが利用可能です.

今回のEICニュースレターでは,従来のCS6400のユーザを対象に,これまでの利用方法の変更点を簡単に紹介します.詳しい利用方法や新しい機能の利用方法などについては,現在利用の手引きのホームページを作成中ですので

http://eic.eri.u-tokyo.ac.jp/headstart_manual

の方をご覧ください.

コンパイラによる自動並列化(f77,f90,cc)

自動並列化機能を有するコンパイラは,MIPS and MIPSpro Fortran 77(7.2.1),MIPSPro 7 Fortran 90(7.2.1),MIPS and MIPSpro C(7.2.1)です.Fortranでは -pfaオプションを,Cでは -pca オプションを付ければ自動並列化されたプログラムが作られます.

例: f77 -O3 -pfa -o test test.f
    f90 -O3 -pfa -o test test.f
   cc -O3 -pca -o test test.c

ここで -O3 は最高の最適化レベルを指定するオプションです.これを指定しないと最適化ナシ(レベル0)が仮定されます.並列化オプションの -pfa ではさらに, -pfa list と入れると並列化の分析ファイルxxx.anl(-o32オプション指定時はxxx.l)を, -pfa keep と入れると自動並列化されたソースファイルxxx.mを得る事ができます.オプションの詳細はオンラインマニュアル man f77 等をご覧ください.また本センターにおけるオプションのデフォルトは,/etc/compiler.defaultsをご覧ください.

並列化したプログラムの実行

並列化したプログラムを実行する場合は,環境変数の MP_SET_NUMTHREADS n で必要なCPU数を指定します.nのdefaultは4です.(当初ご案内のmpp_p=nの指定は不要としました)

例:バッチジョブスクリプトファイルtest_job
   #QSUB -eo -me
   setenv MP_SET_NUMTHREADS 8 (defaultは4)
   cd パス名
   timex test

なお,MP_SET_NUMTHREADSの値は学会前や修論・博論の締め切り前などの繁忙期は最大8までにして下さい.それ以外の閑散期でかつバッチの実行件数が数件以下と少い場合のみ16程度まで指定可能とします.利用者間のトラブルを生じないように大型ジョブ利用者の方はご協力をお願いします.なお,17以上を指定すると実行の途中でジョブがキャンセルされることがありますので,必ず16以下を指定して下さい.

このように作成したバッチのジョブスクリプトを実行するには,次の例のように qsub コマンドでNQSのキューに投入します.

例:バッチジョブスクリプトtest_jobをジョブキュー A に投入
   eic% qsub -q A test_job
キューの状況は,qstatコマンド,ジョブの実行中の状況はtopコマンド
   eic% top -Uユーザ名 (指定したユーザの状況 のみ表示)
やpsコマンドなどで知る事ができます.コマンドの実行時間については,timeやtimexコマンドで計測できます.

例: eic% timex command

出力の realは経過時間, userはユーザCPU時間, sysはシステムCPU時間です.

バッチキュー

現在のところ,バッチキューの設定は表1のようになっています.ここで,User_limitはそのキューで1ユーザが同時に実行できるジョブの最大数,Run_limitはそのキュー全体で同時に実行できるジョブの最大数,MPP_limitはそのキューで1ジョブが使えるCPUの最大数です.なお,TSSは,CPU時間上限2時間迄,メモリ上限256MB迄となっています.

ディスク(/home,/work,/mg)の利用方法

新システムでは,高速のファイバーチャネルRAID装置(560GB)の上にユーザファイル領域(/home)と,大容量の短期ファイル領域(/work)を用意しています./work領域のファイルは,20日以上アクセスされない場合,自動的に削除されますのでご注意下さい.

/homeのユーザ上限は2GB(1.6GBで警告),/workのユーザ上限は12GB(10GBで警告)です.自分がどれくらい使用しているかは,CS6400の時と同じように,
eic% quota -v
で知る事ができます.

また新システムでは,磁気テープライブラリ装置STK TimberWolf 9710(35GBのDLTテープを248本搭載,総容量8TB)と通常のRAID装置DF400(71GBx4=284GB)を用いて,階層型の大容量ファイルシステム(/mg)を用意しています.ここには,センター関係の大容量ファイルが置かれるほかユーザのホームディレクトリのバックアップが置かれます.なお,今後は申請等によってユーザがこの領域を利用可能にする予定です.

移行措置(/wk1,/wk2,/mg/vos等)

これまでのシステムで/wk1と/wk2に置かれていたファイルは新システムの同じ名前のディレクトリに移行していますが,ここのファイルは4月末を持って利用できなくなりますので,各ユーザの方はホームディレクトリなどへコピーをして下さい.

今回移行したMTファイルは,/mg/vos/MT/の下に置かれています.また,4年前HITAC M-640から移行したユーザファイルについては,/mg/vos/vosユーザ番号/ の下にあります.これらの今後については未定です.方針が決まるまでの間このまま残して頂いて構いません.

sgimath科学数値計算ライブラリの利用方法

sgimathはSGIの提供する科学数値計算ライブラリで、この中にはBLAS(Level1,2,3),EISPACK, LINPACK, LAPACK, FFT, Convolutionsなど科学計算によく利用されているライブラリが入っています。使い方はコンパイラの-lオプションを使って,"-lcomplib.sgimath"と指定してリンクして使います.以下は,sgimathをリンクして自動並列化する場合の例です.

例:f77 -O3 -pfa -o test test.f -lcomplib.sgimath
   f90 -O3 -pfa -o test test.f -lcomplib.sgimath
cc -O3 -pca -o test test.c -lm -lcomplib.sgimath

ここで,complib.sgimathを指定した場合は,並列化されていないライブラリがリンクされます.

一方,"-mp -lcomplib.sgimath_mp"の二つのオプションを指定すると,並列化済みのライブラリをリンクすることができます(並列処理可能にするため -mp オプションが必要です).以下はコンパイラの自動並列化は使わないで並列化ライブラリのみを使う場合の例です.

例:f77 -O3 -o test test.f -mp -lcomplib.sgimath_mp
f90 -O3 -o test test.f -mp -lcomplib.sgimath_mp
cc -O3 -o test test.c -mp -lcomplib.sgimath_mp

並列化済みのライブラリsgimath_mpを利用する場合は,コンパイラの自動並列化と併用すると効率がかえって悪くなることがあるということですのでご注意下さい.「すでに並列に処理されているところで更に並列化ライブラリを参照」しても,並列化のオーバヘッドが発生するのみで効率が悪くなるというのがその理由です.例えば,多くのCPUを費やす部分が,「一つのライブラリの呼び出された中」である場合は,並列化ライブラリ(MP版)のみを使い,多くのCPUを費やす部分にて「何度もライブラリを読んでいる」ような場合は,ライブラリは通常のものを使いコンパイラの自動並列化のみを利用するのがいいようです.

最後に,sigmathライブラリに関するオンライン・マニュアルは,man sgimath ,man blas ,man fft ,man conv ,man lapack 等にてご覧になれます.

その他のコンパイラ(CC,gcc)

自動並列化機能はありませんが,そのほかのコンパイラとして,MIPSpro C++(7.2.1),GNU C(フリーソフト)などが利用可能です.それぞれ,オンラインマニュアル man CC,man gcc でご利用ください.

X-Window環境でのオンラインマニュアル(insight)

クライアントワークステーションのeicXXやX-Window環境が利用可能なPCなどであれば,SGIのinsightマニュアルブックが利用可能です.使い方は,eicXXなどからの場合は,単に
eic% insight
またネットワークを介して利用したい場合は,
eic% setenv DISPLAY Xサーバホスト名:0
eic% insight
です.これでIRIS InSight図書館が立ち上がります.コンパイラ関係のマニュアルは「SGI Developper」のタグをクリックしてご利用ください.ほかに,キーワードによりサーチすることもできます.
表1 eicのバッチキューの設定
キュー名 CPU時間上限 メモリ上限 User_limit Run_limit MPP_limit
A 2H 1GB 1 2 8(16)
B 24H 2GB 1 4 8(16)
BM 24H 5GB 1 1 8(16)
C 360H 2GB 1 3 8(16)
CM 360H 5GB 1 2 8(16)
(TSS) (2H) (256MB)



RAの部屋

Windowsファミリーとして,少しずつ違ういくつかのOSが発売されています.それらのうち, Windows98とWindowsNT4.0について,Windows95との違いを中心に紹介します.

○ Windows98  

今年度はじめに発売されたWindows98(以下98)は,Windows95(以下95)の上位OSとされていますが,システムのプロパティーを見ると,95はバージョン4.0と表示されるのに対して, 98は4.1となっており,マイナーバージョンアップであることがわかります.98は 95と同様,完全なプリエンティブマルチタスクOSではないので,アプリケーションが不正終了したときにOSが落ちる可能性がある,アプリケーションを終了してもリソースが開放されない場合がある,などの問題点は残っています.  

以下に98の95に対する主な改良点を挙げます.
1. FAT32の使用により,ディスクへのアクセスが速く.また,2GB以上のパーティションを利用できる.
2. Windows Updateによって,最新ドライバのダウンロードや,バグの修正が容易にできる.
3. Internet Explorerがshellになっている.

 Windows95と比較してそれほど大きな変更点は無いのですが,依然として新しいバグが報告されつづけている現状では,2のWindows Updateは有効と思われます.

○ WindowsNT4.0  

WindowsNT(以下NT)はマルチタスクOSで,95に比べるとはるかに安定しています. 95専用に開発されたプログラムが動作しないことがありますが,研究に使う場合に問題になることは少ないと思われます.95に比べて多くのメモリを必要とし,またOS起動中のPCMCIAカードの抜き差しに対応していないので,ノート型パソコンなどには不向きでしょう.  

NT4.0はServerとWorkstationの2バージョンが発売されています.Workstationでは,Webでの同時接続は10まで,Netscape Enterprise Serverなどのサーバアプリケーションが動作しないなどの制限がつけられています.OSのプログラム自体はほとんど同じなので,サーバとしての利用を考えなければ廉価なWorkstationで十分です.

<文責:梅村 恒/地震火山災害部門 D2>


Many utilities could be used to help you to manage your PC.Next are two examples:

(1) System Information (Shareware and free to try)

It is a collection of small utilities for Windows 95/98. It retrieves detailed system information, including CPU, drives, memory, BIOS, sound, display, printers, running processes, etc. A server monitor returns real-time performance information regarding memory and disk usage. The disk-usage monitor returns lots of information about any drive on your system. Other features include modules for your joystick, sound mixer, installed software and devices, shared files, keyboard, and more. Online help is included.

(2) UnInstaller ($19.95 and free for a limited period)

UnInstaller identifies and removes all of those unnecessary files that accumulate on your PC - Internet cache files, temp files, duplicate files in an automatic way. It is the safe and simple way to clean out your PC. Your PC accumulates junk files all the time. These can slow down your PC and cause problems. The new UnInstaller makes it a snap to completely clean up this clutter.

You could find more in the homepage of RA

<文責:趙 燕来/地球流動破壊部門 D3>