EIC地震学ノート No.68                 Oct.01, 99

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------

    99年9月30日メキシコ南部の地震(Ms 7.5)

-------------------------------------------------------------------


● 概略・特徴: 9月30日午前11時半ごろ(現地)メキシコ南部オアハカ州を震
源とするMs7.5の地震が発生し、少なくとも14人の死者がでました。USGSによる速報震
源は次の通りです。
     発生時刻         震央     深さ    Ms
 0930 16:31:13 (UT)   16.15°N  96.71°W   53 km   7.5 

● データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録のうち、20地点のデータ
(P波上下動)を用いました。観測点分布は良好です。数秒間隔のパルスが2個見ら
れます。

●結果: 結果を図1に示します。2段階の破壊(サブイベント)から成ります。主な
震源パラメータは次のとおりです。

 深さ      H = 55 km
 走向、傾斜、すべり角 =  (119, 37, -97)/(307, 54, -85)
         北東-南西引っ張りの正断層
 地震モーメント  Mo  =  1.2 x10**20 Nm  (Mw = 7.3)
  破壊継続時間  T  = 14 s
 主破壊の断層長 (片方向、v = 3km/s を仮定) L = 40km
     面積  S = L x L/2 = 40kmx20km
 食い違い       D = Mo / μS = 2.3 m (μ=64GPa)
 応力降下      Δσ = 2.5 Mo/ S**1.5 = 13 MPa

● 解釈その他:メキシコ南部の中米海嶺から北東方向に潜り込むココスプレート内部
の正断層と考えられます。今年6月15日に北西側やや深め(H=71km)のところで、
今回とほぼ同じメカニズムの地震(Mw6.8)が起こっています。
                            (文責:菊地・山中)