EIC地震学ノート No.61                  June 18, 99

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ ------------------------------------------

6月15日メキシコ中部の地震(M6.7)

-------------------------------------------------------------------


● 概略・特徴: 6月15日午後3時40分(現地時間)メキシコ南部オハカ州北部を
震源とするM6.7の地震が発生しました。報道によると、死者16名、負傷者約200名
にのぼるとのことです。USGSによる震源諸元(MはUNAM)は次の通りです。

    発生時刻       震央         深さ   マグニチュード
 06/15 20:42:01 UT   18.33°N   -97.39°E   71km     6.7 (UNAMによる) 

● データ処理: IRIS-DMCのデータを地震研究所の準リアルタイムサービス (gopher)に
より収集しました。解析には12地点の広帯域地震計記録(P波上下動)を用いました。観
測点分布が偏っているため、空間の分解能はよくありません。波形を見たところ、2,3個
のサブイベントから成る多重震源であることがわかります。

●結果:メカニズムの変化を許した波形インバージョンにより、2個のサブイベントを
抽出しました。解析結果を図1に示します。主な震源パラメータは次のとおりです。

 走向、傾斜、すべり角(全体) =  (109, 47, -91)/(291, 43, -89)
 地震モーメント     Mo  =  2.1 x10**19 Nm  (Mw = 6.8)
  破壊継続時間      T  = 10.5 s 

● 解釈その他:メキシコ南岸からもぐり込むココスプレート内部の正断層と考えられ
ます。                          (文責:菊地・山中)