YCU地震学レポートNo.48 Nov.2,95
11月1日 喜界島近海の地震の遠地実体波解析
<付録>10月27日フランス核実験
11月1日夕方,ニュース速報で津波注意報が流れました。喜界島近海を震源とす
るM6.5の地震(喜界島震度�検砲紡个垢襪發里任后�さっそく当方(YCU)の広
帯域地震計のモニター記録を見たのですが,一向に針が振れません。10月18日,
19日の地震のときには振り切れるほどでしたので,これは変だ,地震計の故障かな
と思いつつ,他の観測点にダイヤルアップして見ました。結果は同じで,前回に比べ
て1桁以上も小さい,およそ1/40の揺れでした。ざっと見積もると,
表面波マグニチュードは
Ms=6.9(前回の値)+ log (1/40) =5.3
となります。
その後,どこかで潮位が50cmほど低下したというニュースが流れました。
Ms5.3からは,とても信じられない内容でした。この潮位変化は本当だったので
しょうか。しかるべき機関できちんとフォローしてもらいたいものです。
参考までに,図1にSMZ(清水)観測点の上下動記録を載せてあります。
10月18日と19日の地震では,表面波の振幅はほぼ同じ(Msはどちらも6.9)
ですが,実体波(P波)は18日の方がほぼ2倍の振幅です。これに対し,
11月1日の地震の振幅は,実体波・表面波とも,10月19日の地震のほぼ1/40です。
Msが5.5以下の地震については,通常IRISは広帯域地震計記録のサービス
をしないのですが,今回はなぜか記録が収集されていました。これらの記録を用いた
解析結果を図2に示します。メカニズムは前回とほとんど同じ正断層タイプで,プレ
ート内部地震と思われます。震源パラメタは以下の通りです。
メカニズム モーメント Mw 継続時間 断層面積 ずれ 応力降下
(φ,δ,λ) Mo T S D Δσ
(185,72,-83) 2.4x10**17 Nm 5.5 1.6 s 5x2.5 km**2 0.3 m 13 MPa
なお,今回の地震の震源諸元(位置,発生時刻,M)は,気象庁・USGS・当方
の間でやや差があります。参考までに,下表に示します。
日 時 震 央 深さ Ms mb Mw
USGS 18:35:59.9s* 28.9N, 130.1E 19 km 5.3 5.6 5.6 (*)日本時間
JMA 18:36 * 28.0N 130.5E 10 km 6.5+ (+) Mj
YCU 18:35:55s * 28.3N 130.3E 24 km 5.3 5.5
<付録> 10月27日フランス核実験による地震波解析
フランスはポリネシアのムルロア環礁で,10月27日午後1時(現地時間),
再開後3回目の核実験を行ないました。慣れっこにならないように,目新しいことは
何もないのですが,地震波解析の結果を報告しておきます。
まず,USGSの震源情報によると
発震時刻 震 央 深さ mb
95/10/27 21:59:57 22.0S 139.2W 0 km 5.5
でした。mbは前回(10月1日)と同じですが,遠地実体波の振幅はかなり小さめ
です。0.4 Hzより高周波の変位波形を用いてインバージョンを行ないました。結果を
図3に示します。モーメントテンソルの全成分は
Mij = 2.1 -0.6 -0.5 [x 10**16 Nm]
-0.6 2.1 -1.2
-0.5 -1.2 2.6 (x1,x2,x3)=(N,E,Down)
です。主値M1,2,3,スカラーモーメントMo,等方成分Iの値は
M1,2,3= 3.6, 2.5, 0.73 [x10**16 Nm]
Mo=(M1-M3)/2=1.4x10**16 Nm
I=2.3x10**16 Nm
です。
Moの値は完全等方震源の場合0になりますので,核実験の規模を表すのはむしろ
Iの値の方かと考えられます。これまでの一連の核実験について,mb,Mo,Iの
値をまとめると次のようになります。
中国 F1 F2 F3
mb 6.1 4.8 5.5 5.5
Mo[x10**16Nm] 5.6 0.45 2.6 1.4
I [x10**16Nm] 4.6 0.36 3.0 2.3
規模[kトン] ? <20 <110 <60
(MK)