YCU地震学レポートNo.45                                        Sep.8,95

        9月5日  フランスの核実験による地震波の解析


日本時間で9月6日朝6時30分,”フランス核実験を強行”のニュースが伝わっ てきました。USGSの決めた地震マグニチュードは,5.5より小さく,したがっ てIRISの広帯域地震記録の収集は自動的には行われなかったようです。 先程,もしかして誰かマニュアルでデータ収集を行っているかもしれないと思い, IRISのDMC(Data Management Center)にアクセスしてみましたところ,予想 どおり,波形データが集められていました。まずUSGSの速報値は次の通りです。 発震時刻 震央 深さ mb 95/09/05 21:30:07.0 UT 21.84S 138.90W 0 km 4.4 先日の中国の核実験のmb=6.1に較べるとはるかに小規模です。したがってデー タの質はよくありません。0.5-20 Hz のバンドパスフィルターをかけて,やっと信号 が見えた観測点が6点ありました。何と振幅は0.01〜0.1ミクロンです!! これらの波形を使って得られた結果を図1に示します。やはり今回も等方成分(膨 張成分)Iが大部分(70%以上)のメカニズム解が得られました。モーメントテン ソルの全成分は次の通りです。 Mij = 3.9 -2.4 -3.4 [x1015 Nm] -2.4 3.8 -2.5 -3.4 -2.5 3.2 (x1,x2,x3)=(North,East,Down) 主値M1,2,3,スカラーモーメントMo,Iの値は M1,2,3 = (7.0, 5.8,-2.0) x1015 Nm Mo=(M1+M3)/2 = 4.5 x1015 Nm I=(M1+M2+M3)/3= 3.6 x1015 Nm です。ほぼ中国の核実験より1桁小さい値です。また,震源時間はT=0s(とにかく 短い!)です。