YCU地震学レポートNo.39                               Apr.14,95

       4月1日  新潟県笹神村地震のメカニズムとマグニチュード


4月1日12時49分,新潟県を中心に,かなり広い範囲で地震を感じまし た。新潟,笹神,相川(佐渡)では震度�犬魑�録しました。重軽傷者は約60 人,損壊家屋は850棟以上でした。気象庁による地震諸元は次の通りです。 発震時:12:49:34.7" 震央 :37.88°N 139.25°E 深さ:17km マグニチュード:6.0 IRISによる遠地実体波の広帯域記録はノイズに埋もれがちであり,これ を見る限り,震源の規模はそれほど大きいようには思われません。また,P波 に比べ,SH波の振幅は同程度か小さめであり,このことから震源のメカニズ ムは縦ずれ断層型と推定されます。インバージョンによる主な震源パラメータ は次の通りです。 メカニズム (走向,傾斜,すべり角)=(215,54,96)/(25,36,82) 北西−南東圧縮の逆断層 地震モーメント Mo=1.1x10^17 Nm (Mw=5.3) 震源の深さ h=10km 破壊継続時間 τ=1.5s 図1に,メカニズム図,震源時間関数,波形の比較を示します。 破壊伝播時間をT=1.0s,破壊速度を v=2.5km/sとし,両方向伝播モデルを仮 定すると,断層の長さ L,幅 W,くいちがいD,応力降下Δσは L = vT = 5 km, W = L/2 = 2.5 km, S = LW D = Mo/μS = 29 cm Δσ = 2.5Mo/S^1.5 = 6.2 MPa 応力降下は,内陸のほぼ標準的な値といえます。 国内の広帯域地震記録を用いた解析(Y.Iによる)でも,メカニズム,深 さ及びモーメントについて,ほぼ同様の結果が得られました。結果を図2に示 します。ハーバードのCMT解では,地震モーメントは Mo=2.1x10^17Nm (Mw=5.5)です。いずれも,Mwは気象庁発表のマグニチュードよりかなり小さな 値を示しています。 念のため,南関東地域の広帯域地震記録に,周期5秒の Low-cutフィルター をかけ,波形の片側振幅A[μ]から,次式によりMjを求めてみました。 Mj = log A + 1.73 log Δ - 0.83 ここで,Δは震央距離[km]です。結果は次の通りです。 観測点 Δ[km] A[μ] Mj --------------------------------------- MAJ 175 111 5.1 TKO 250 153 5.5 CHU 265 297 5.8 SGN 267 42 5.0 YCU 288 163 5.6 JIZ 333 55 5.3 ======================================= 平均 5.4 ± 0.3 兵庫県南部地震について,同様の方法・観測点を用いて計算したMjは,気 象庁の発表したマグニチュード(7.2)と一致していました(Mwは6.9)。今 回の地震で,なぜ気象庁発表と合わないのか,今のところ不明です。(MK)