YCU地震学レポートNo.22                                 Jun.2,93
 
      伊  東  沖  群  発  地  震  の  記  録  と  解  析  速  報 


5月26日夜,伊東沖でにわかに群発地震が起こり始めました。活動と小康 状態を繰り返しながら,5月31日15時12分にM4.8(気象庁)の地震 が発生しました。これまでのところ,これが最大ですが,この先どう推移する か注目されるところです。 これほど頻繁に起こりますと,なかなか,”リアルタイム処理”という訳に はいかず,ともするとデータ収集に追われがちになります。それでもやはり, 多少のデータ採りそこねは覚悟しつつ,”データ解析”を平行してやっている ところです。 とりあえず,データはJIZ(中伊豆)とHKY(温泉研)の観測点に限定 しています。予備的な解析によりますと,今回の地震はほとんど横ずれ断層型 で,JIZはP波の腹に,HKYは節の近傍にあたります。また,HKYは震 源のほぼ真北に位置するため,水平EW成分がほぼそのままSH成分になりま す。したがって,JIZの上下動(P)とHKYのEW成分(SH)を見れば 震源関数は推測できそうです。 図1に,JIZ(Z)とHKY(EW)の記録の例を示します。群発の初 期[JIZ(Z)とHKY(EW)]のころと5月30日以降[JIZ(Z) とHKY(EW)]のものです。また, 図2には,JIZのP波上下動を震 源時間関数に規格化したもの(擬震源時間関数)を,時間経過に従って並べて あります。 これまでの発生過程を追ってみますと,次の様な特徴が見えます。 1)震源時間関数のパルス幅が約0.2秒の単発地震 2)上のパルス幅の地震の2〜3連発 3)パルス幅が0.5〜0.8秒の単発 4)上のパルス幅の地震の連発 小断層群が,応力の高まりとともに,互いに結び付いて,より長い地震断層 (群)に成長していると考えられます。 いずれ,後日,もう少しまとまった報告が可能と思います。