EIC地震学ノート No.73 Nov. 30, 99
東大震研情報センター
◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
99年11月27日バヌアツ島近海の地震(Ms7.1)
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● 概略・特徴: 11月27日未明(現地時間)に、ニューギニア南東のバヌアツ島付 近でMs7.1(USGS)の地震がありました。この地震で発生した津波により10名余の死者行 方不明者がでた模様です。USGSによる速報震源は次の通りです。 発生時刻 震央 深さ Ms 99/11/26 13:21:15 (UT) 16.45°S 168.18°E shallow 7.1 ●データ処理: IRIS-DMCから収集した12地点の広帯域地震計記録(P波上下動)を用い て解析しました。 ●結果: 結果を図1に示します。主な震源パラメータは次 のとおりです。 走向、傾斜、すべり角 = (170, 25, 90) 東傾斜の低角逆断層 地震モーメント Mo = 1.3 x10**20 Nm (Mw = 7.3) 破壊継続時間(主破壊) T = 46 s 深さ H = 15 km 断層面積 S = 80km x 30km 食い違い D = Mo / μS = 1.4 m (μ=40GPa) 応力降下 Δσ = 2.5 Mo/ S**1.5 = 2.8 MPa ● 解釈その他:大変複雑な破壊過程を示します。少なくとも3個のサブイベントが示唆 されます。破壊は南から北へ進む片方向伝播です。 この辺のテクトニクスでは、西から東へ潜り込むプレート境界地震が主流ですが、今 回の地震はこれとは異なり、東側が西側に潜り込む逆断層解です。応力降下はプレート 間地震の代表値を示します。 波の発生との関連、テクトニクスの意味など今後の重要な検討課題です。 (文責:菊地・山中)