EIC地震学ノート No.65                Sep. 14, 99

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析◆ ------------------------------------------------

9月13日トルコの地震(余震)(Ms 5.8)

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● 概略・特徴: 先月8月17日の甚大被害地震の余震です。この地震でも死者数
名の被害がでました。USGSによる速報震源は次の通りです。

     発生時刻           震央    深さ    Ms
 0913 11:55:28 (UT)   40.74°N  30.03°E    8 km   5.8 

●データ処理:IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録のうち、8地点のデータ
(P波上下動)を用いて解析しました。観測点分布は概ね良好です。

●結果:結果を図1に示します。主な震源パラメータは次のとおりです。

 走向、傾斜、すべり角 =  (268, 43, 176)/(1, 87, 48)
         傾斜断層の右横ずれ断層または鉛直断層の斜めずれ
 地震モーメント  Mo  =  5.3 x10**17 Nm  (Mw = 5.8)
  破壊継続時間(主破壊) T  = 2.5 s
 深さ          H = 13 km
 主破壊の断層長(双方向伝播v=3km/sを仮定)L = 12 km
 断層面積(W=L/2と仮定)  S = 12km x 6km
 食い違い       D = Mo / μS = 0.16 m (μ=46GPa)
 応力降下      Δσ = 2.5 Mo/ S**1.5 = 2.2 MPa

● 解釈その他:震央はほぼ本震と同じですが、メカニズムは異なります。43°傾斜面
を断層面とすると、ずれの方向はほぼ水平右横ずれとなります。本震の破壊において、
震央の東側と西側の断層面に少し段差があったとすれば、今回の地震がその段差をつな
ぐように起こったと解釈できます。
                               (文責:菊地・山中)