EIC地震学ノート No.63                  August 23, 99

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(改訂版)◆ --------------------------------------

   8月21日和歌山県北部の地震(M 5.5)

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● 概略・特徴: 8月21日午前5時33分ごろ、近畿地方を中心に地震があり、和
歌山、奈良の両県で震度5弱の揺れを記録しました。気象庁による速報震源は次の通
りです。

   発生時刻     震央         深さ    M
 08/21 05:33 JT   34.0°N  135.5°E    70km   5.5 

● データ処理: IRIS-DMCのホームページからグローバル広帯域地震計記録を収集し
ました。ほとんどの記録はノイズに埋もれています。ここでは3地点のP波上下動を用
いて解析しました。観測点分布が偏っていますので、空間の分解能はありません。

●結果:結果を図1に示します。主な震源パラメータは次のとおりです。

 走向、傾斜、すべり角 =  (350, 90, -55)/(80, 35, 180)
 地震モーメント     Mo  =  6.0x10**17 Nm  (Mw = 5.8)
  破壊継続時間      T  = 2 s
 深さ          H = 60 km

● 解釈その他:震源の位置から判断して、潜り込むフィリピン海プレート内部の地震
と考えられます。地震研究所観測センターの震源分布によると、余震は本震から南南
東方向に並ぶように見えますので、2つのP波節面のうち、北北西-南南東走向の鉛直面
が断層面と考えられます。これはちょうど紀伊半島を境とした東南海側と南海道側のプ
レートの断裂に関係した地震と思われます。
                            (文責:菊地・山中)