EIC地震学ノート No.60               Apr. 9, 99

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析◆ ------------------------------------------------

4月8日ウラジオストックの深発地震

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● 概略・特徴: 4月8日22時10分(日本時間)ウラジオストック付近を震央とする深
発大地震が発生しました。日本でもかなりの範囲(主に北海道から関東の太平洋側!)
で有感でした。USGSによる震源諸元は次の通りです。

    発生時刻       震央     深さ   マグニチュード
 04/08 13:10:34 UT   43.6°N  130.5°E   560km     6.5 (mb) 

● データ処理: IRIS-DMCのデータを地震研究所の準リアルタイムサービス (gopher)
により収集しました。解析には21地点の広帯域地震計記録(P波上下動)を用いました。
観測点分布はほぼ完璧です。波形を見たところ、2,3個のサブイベントから成る多重震
源であることがわかります。

●結果:メカニズムの変化を許した波形インバージョンにより、2個のサブイベント
を抽出しました。直達P波の部分のみを用いたため、深さ方向の分解能はありません。
解析結果を図1に示します。主な震源パラメータは次のとおりです。

 走向、傾斜、すべり角(全体) =  (185, 86, 60)/(88, 30, 172)
 地震モーメント     Mo  =  4.3 x10**19 Nm  (Mw = 7.0)
  破壊継続時間      T  = 5.5 s 

● 解釈その他:1994年7月21日に今回の震源の近くでMw7.3の地震が発生しています。
これについては、この3月に修士課程を修了し東京ガス(株)に就職された、足立裕之君
の解析結果("2連発地震")があります。今回のメカニズム解はこの足立解とよく似て
います。また、今回の震源時間関数は2連発足立解の1個分に相当します。
                              (文責:菊地・山中)