EIC地震学ノート No.52                  Dec. 16, 98

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ ------------------------------------------

12月16日日向灘の地震(Mj 5.6)

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● 概略・特徴: 12月16日朝九州地方に地震がありました。鹿児島県鹿屋市などで
震度4を記録しました。気象庁による震源諸元は次の通りです。

  発生時刻      震央      深さ  マグニチュード
 09:18 JT    31.3°N  131.4°E    40 km   5.6 (Mj)

● データ処理: IRIS-DMCのデータを地震研究所の準リアルタイムサービス
(gopher) により収集しました。解析には7地点の広帯域地震計記録(P波上下動)
を用いました。観測点の数は少ないのですが方位分布は概ね良好です。

●結果:解析結果を図1に示します。主な震源パラメータは以下のとおりです。

 走向、傾斜、すべり角 =  (185, 22, 51)  低角逆断層
 地震モーメント     Mo  =  5.6 x10**17 Nm  (Mw = 5.8)
  破壊継続時間      T  = 5.0 s 
 深さ(Centroid)      H = 40 km
 断層面積(双方向破壊伝播を仮定)  L = 2x2.5km/sx3s = 15km
             S = LxL/2 = 1.1x10**2 km**2
 くいちがい        D = Mo/μS = 0.08 m   (μ=64 GPa)
 応力降下         Δσ = 2.5Mo/S**1.5 = 1.2 MPa

● 解釈その他:震源の深さは40kmで、メカニズムは北西方向に潜り込む低角逆断層
です。応力降下は小さく、典型的なプレート間地震の様相を呈しています。
                            (文責:菊地・山中)