EIC地震学ノート No.39                  Jan.12, 98

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析◆ ----------------------------------------------------

1月10日中国北東部の地震(Ms 5.7)

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● 概略・特徴: 1月10日昼前(現地時間)、中国の張家口の北西60km付近を震源
とする極く浅い地震がありました。報道によると、死者は47名、倒壊家屋は10万棟余に
のぼるとのことです。USGSの速報震源諸元は次のとおりです。
  発生時刻          震央            深さ   マグニチュード
 03:50:43 UT       41.33°N  114.71°E    5 km     5.7  (Ms)

● データ処理: IRIS-DMCのデータを地震研究所の準リアルタイムサービス (gopher) 
により収集しました。解析には8地点の広帯域地震計記録(P波上下動)を用いました。
データの質はあまりよくありません。

●結果: 解析結果を図1に示します。メカニズムは東北東-西南西圧縮のほぼ純粋な
縦ずれ逆断層です。深さはかなり浅く求まりました。主な震源パラメタは次の通りで
す。

 走向、傾斜、すべり角    =  (166, 62, 107)/(314, 33, 62)
  地震モーメント     Mo  =  7.3 x10**17 Nm  (Mw = 5.8)
  破壊継続時間        T = 3.0 s 
 深さ             H = 3 km
 断層面積(L=2sx2.5x2=10km) S = 10x5 km^2
 くいちがい         D = Mo/μS = 0.49 m  (μ=30GPa)
 応力降下        Δσ = 2.5Mo/S**1.5 = 5.2 MPa

● 解釈その他: 規模は、昨年5月13日の鹿児島県薩摩地方の地震とほぼ同じ、応
力降下もほぼ同じです。震源も極く浅く、おそらくは鹿児島県の場合と同じような地震
動分布をしたと思われます。                                (文責:菊地・山中)