EIC地震学ノート No.28                  Oct. 18, '97

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析◆ ----------------------------------------------------

10月13日ギリシャ南方沖の地震(Ms 6.6)

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● 概略・特徴: 10月13日15時39分(現地時間)、ギリシャ南方沖合でMs
6.6の地震がありました。アテネでも有感であったようです。USGSの速報震源諸元は
次のとおりです。

  発生時刻          震央         深さ   マグニチュード
 13:39:35 UT       36.3°N  22.1°E    10 km     6.6  (Ms)

● データ処理: IRIS-DMCのデータを地震研究所の準リアルタイムサービス (gopher)
 により収集しました。解析には19地点の広帯域地震計記録(P波上下動)を用いまし
た。初めに1つの点震源を仮定してメカニズムを決め、次に、断層面を固定した波形
インバージョンでモーメント解放の時空分布を求めました。 

●結果: 解析結果を図1に示します。メカニズムは北東-南西圧縮のほぼ純粋な縦
ずれ逆断層です。深さはUSGS発表の値よりかなり深く求まりました。主な震源パラメ
タは次の通りです。

 走向、傾斜、すべり角    =  (292, 22, 79) 
  地震モーメント     Mo  =  5.6 x10**18 Nm  (Mw = 6.4)
  破壊継続時間      T = 13 s 
 深さ          H = 35 km
 断層面積(L=2sx2.5x2=10km)   S = 30x15 km^2
 くいちがい       D = Mo/μS = 0.2 m  (μ=64GPa)
 応力降下        Δσ = 2.5Mo/S**1.5 = 1.5 MPa

● 解釈その他: 何かと注目されるVAN法との絡みについては今のところわかりませ
ん。メカニズムは典型的なプレート間の潜り込み型ですが、やや深すぎるように思わ
れます。この辺のテクトニクスと比較検討する必要があります。

 #ひところ、インターネットの通信事情により、IRISのデータを収集するのに数時
間を要していましたが、最近防災科学技術研究所のご厚意により、地震研のgopherに
すばやくデータが入るようになりました。ご利用下さい。  (文責:菊地・山中)