東大震研情報センター
更新 97/05/23
◆遠近実体波形解析◆ ----------------------------------------
5月13日 鹿児島県薩摩地方の地震(Mj 6.2)
---------------------------------------------------------
● 概略・特徴: 3月26日の地震 (Mj 6.3) の余震と見られますが、通常の余震に 比べて、マグニチュードが本震と同程度であることや、断層面がはっきりと別れるこ となど、いくつか特徴的な点が見られます。九州大学や鹿児島大学のデータによると 今回の地震の余震は、震央を頂点としてL字型に分布しています。 ● データ処理: IRISの観測点から広帯域実体波記録11点分を収集。 ●結果: 解析結果を図1に示します。 地震源パラメタ: 走向, 傾斜, すべり角 = (98, 88, -1) 東西走向、左横ずれ断層 南北走向、右横ずれ断層 地震モーメント Mo = 0.90 x10**18 Nm Mw = 5.9 破壊継続時間 T = 3.5 s 断層面積 (L=2s x 2.5 km/sx2) S = 10x5 km**2 深さ h = 8 km 食い違い D = Mo/μS = 0.6 m (μ= 30 GPa) 応力降下 Δσ = 2.5 Mo/S**1.5 = 6.4 MPa ●解釈: パルス幅が2秒程度の2個のサブイベント(小断層)が得られました。 全くのスペキュレーションですが、最初の小さいイベントが南北に走向を持つ断層 に、2つめの大きい方のイベントが東西方向の断層に対応するのではないかと考え られます。いずれにせよ、共役な断層がほぼ数秒遅れで動いたと考えられます。 (文責:菊地正幸・山中佳子)