東大震研情報センター
◆近地波形解析◆ ----------------------------------------
3月3〜7日 伊東沖群発地震(最大Mj5.7)
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● 概略・特徴: 3月3日未明から始まった伊東沖群発地震は、最大規模Mj 5.7 (3月4日12時51分)の地震を含め有感地震400個余りをもって収束に向かっ ているようです。この間、伊東市では震度5弱が3回ありましたが、上記の最大規模 地震における震度は4止まりでした。 ● データ処理: FREESIAの観測点JIZ(中伊豆)と横浜市立大学の観測点HKY(箱根 湯本)の広帯域地震計記録をダイヤルアップで収集しました。気象庁マグニチュード (Mj) で4.6以上の地震を解析しました。JIZは震源のほぼ真西、15km、HKYはほぼ真 北35kmに位置します。したがってJIZのNS成分、HKYのEW成分はほぼSH (Transverse) になります。変位に換算した観測記録を図1、2に示します。最大地震では、上下動 で1cm、水平動で2cmほどの揺れです。波形インバージョンでは震央、深さを(34.92N, 139.12E, 5.5km)に固定し、メカニズムと震源時間関数を最小自乗法で求めました。 グリーン関数の計算には Takeo&Mikami の方法を用いました。 ●結果: 解析結果を図3〜9に示します。主な震源パラメタは表1の通りです。要 点は 1)メカニズムは北西−南東ないし西北西−東南東方向の圧縮軸を持つ横ずれ型で ある。 2)MwはMjより系統的に0.3-0.4ほど小さい。 3)規模の上位2つの地震の破壊継続時間は2.5-3秒であり、下位の地震の継続時 間(1秒未満)との間にギャップがある。 表1 波形解析結果 ---------------------------------------------------------------------------- 日時 Mj 最大震度 Mo Mw (strike,dip,rake) 継続時間 図 (x10**15 Nm) ---------------------------------------------------------------------------- 03/03 20:11 4.6 4 2.9 4.2 (287,89,-170) 0.6s 図3 23:09 5.2 5- 27 4.9 (280,73,-140) 2.5 図4 03/04 00:30 5.1 4 11 4.6 (299,90, 180) 0.9 図5 12:51 5.7 4 100 5.3 (161,70, 2) 3.0 図6 03/05 22:43 4.6 5- 2.4 4.2 (280,86,-175) 0.7 図7 03/07 16:33 4.7 5- 5.2 4.4 (182,60, 14) 0.8 図8 21:35 4.6 4 1.8 4.1 (280,84,-154) 0.9 図9 ● その他: 最下段の地震は2連発地震です。これは1つの多重震源地震というよ りは、別々の地震と考えるべきでしょう。いずれにせよ珍しい現象です。 (文責:菊地正幸)