東大震研情報センター
◆遠地実体波解析◆ ----------------------------------------------------
2月28日 イランの地震 ( Ms 6.1)
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● 概略・特徴: 2月28日午後4時ごろ(日本時間21時57分)、イラン北西部 で Ms6.1[USGS] の地震がありました。規模のわりに被害が大きく、死者数百名が出た もようです。USGSの速報震源は以下の通りです。 発生時刻 震央 深さ マグニチュード 12: 57: 22.6 UT 38.10°N 47.79°E 15 km 6.1 (Ms) ● データ処理: IRIS-DMCの準リアルタイムサービスにより広帯域地震計記録を集め ました。 観測点の方位分布は概ね良好です。解析には震央距離が30~60°の13地点の P波上下動を用いました。震源近傍の構造として、3層から成る厚さ36 kmの地殻、そ の下に半無限のマントルを置きました。波形は複雑ですが、構造の影響もかなりあり、 顕著なマルチプルショックであるかどうかわかりません。とりあえず、メカニズムの 変化を考慮し2個の震源を求めました。 ●結果: 解析結果を図1に示します。2つの小破壊ともメカニズムはほぼ北西−南 東圧縮の横ずれ断層です。2個目の小破壊はわずかに東側に決まります。これが正し いとすると、断層面は東西の走向で右横ずれ型と推定されます。深さは 9 km です。 主な震源パラメタは次の通りです。 走向、傾斜、すべり角 = (278, 90, -157) 地震モーメント Mo = 1.3 x10**18 Nm (Mw = 6.0) 破壊継続時間 T = 3.0 s x2個 深さ H = 9 km 断層面積(L=2sx2.5x2=10km) S = 10x5 km**2 くいちがい D = Mo/μS = 0.9 m 応力降下 Δσ = 2.5Mo/S**1.5 = 9 MPa ● 解釈: 応力降下、メカニズムとも内陸地震の典型的な値です。それにしても、 震源が浅かったとはいえ、この規模の地震でなぜこれだけ大きな被害になってしま うのか。現地の詳しい調査結果が待たれます。 (文責:菊地正幸) e-mail: kikuchi@eri.u-tokyo.ac.jp