東大震研情報センター
1月11日 メキシコの地震 ( Ms 6.1 )
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● 概略・特徴: メキシコのミチョアカン州で、現地時間1月11日14時28分、 Ms 6.8の地震がありました。被害の有無はわかりません。震源地は85年9月19日 のメキシコ大地震(Ms8.1)の震源域の北西端に位置します。そこで、まずもって、 同じメカニズムなのか、あるいはプレート内部の地震なのか、関心のあるところです。 USGSの速報震源は以下の通りです。 発生時刻 震央 深さ マグニチュード USGS 20:28:25.7 GT 18.25°N 102.81°W 13 km 6.8 (Ms) ● データ処理: IRIS-DMCの準リアルタイムサービスにより広帯域地震計記録を集め ました。 観測点の方位分布は良好です。解析には14地点のP波上下動を用いました。 震源近傍の構造として、水3kmの海水層と厚さが20 kmの地殻、その下に半無限のマン トルを置きました。まず1個の震源を仮定して最適のメカニズムを決め、次に断層面 を固定して破壊の時空分布を求めました。 ●結果: 解析結果を図1に示します。メカニズムは、ほぼ鉛直面と水平面をP波節面 とし、断層面の取り方に2通りの可能性があります。そこで鉛直断層面と水平断層面 のそれぞれについて波形のインバージョンをしてみたところ、鉛直断層面の方がわず かながら良い波形の一致が得られますので、暫定解としてこれを採用しました。震源 の深さについて、USGS解 (13km) とHarvard-CMT解 (46km) の間に大きな違いがありま す。我々の解では、初期破壊点の深さが40kmで、そこから深い方に向かって10km余り、 南東方向に向かって30kmほど破壊が進みました。主な震源パラメタは次の通りです。 (version 970119) 走向、傾斜、すべり角 = (118, 90, 90)/(194, 1, -14) 地震モーメント Mo = 5.4 x10**19 Nm Mw = 7.1 破壊継続時間 T = 17 s 断層面積 S = 30 x 15 km**2 深さ h = 40-50 km 食い違い D = Mo/μS = 1.9 m (μ= 64 GPa) 応力降下 Δσ = 2.5 Mo/S**1.5 = 14 MPa ● 解釈: ここでは鉛直断層面を採用しましたが、水平断層面の可能性も捨て切れ ません。いずれにせよ、メカニズム、応力降下、震源の位置から判断して、プレー ト内地震(Down-dip Extension)と考えられます。 (文責:菊地正幸) e-mail: kikuchi@eri.u-tokyo.ac.jp