東大震研情報センター
12月21日 茨城県南部の地震 ( Mj 5.5 )
---------------------------------------------------------
● 概略・特徴:12月21日10時29分(日本時間)、関東中心にかなり強い地震が ありました。日光市で震度5の弱(計測震度4.5)を記録。岩が崩れ落ちたり、窓ガラスが 割れるなどの被害もあったようです。気象庁とUSGSの速報震源は以下の通りです。 発生時刻 震央 深さ マグニチュード 気象庁 10:29 JST 36.1°N 139.8°E 40 km 5.5 (Mj) USGS 10:28:45 JST 36.0°N 139.8°E 40 km 5.6 (mb) ● データ処理: 南関東に配置されている広帯域地震計(横浜市大、FREESIA、気象研) の記録をダイヤルアップで集めました。 解析には5地点のP波上下動、2地点のSH波 を用いました。震源はP波速度6.7km/sの層に置き、各観測点ごとの表層構造を考慮しま した。これらの記録でメカニズムを求める一方、遠地の実体波記録(IRIS)を用いて、震 源の深さを決めました。 ●結果: 解析結果を図1に示します。メカニズムは北西-南東圧縮で、横ずれ成分を 伴った低角逆断層です。深さは 45-47km です。主な震源パラメタは次の通りです。 走向、傾斜、すべり角 = (271, 24, 133) 地震モーメント Mo = 2.9 x10**17 Nm Mw = 5.6 破壊継続時間 T = 1 s 断層面積 (L=0.8 s x 2.5 km/s x 2 ) S = 4 x 2 km**2 深さ h = 45-47 km 食い違い D = Mo/μS = 0.90 m (μ= 40GPa) 応力降下 Δσ = 2.5 Mo/S**1.5 = 32 MPa ● 解釈:メカニズム、震源の位置から考えて、フィリピン海プレートの潜り込みに伴 うプレート間地震と考えられます。しかし応力降下がかなり大きめです。強震動にその影 響(短周期的)が現われているかどうか興味があります。また、92年4月14日にほぼ 同じ位置で同じメカニズムの地震が起こっています(Mw 5.0 YCUレポート#7参照)。 (文責:菊地正幸)