東大震研情報センター
10月19日 日向灘の地震 (Ms 6.7)
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●概略・特徴: 10月19日23時44分、日向灘を震源とするやや大きい地震が あり、鹿児島県と宮崎県で計測震度5弱を記録しました。気象庁は九州の東海岸、瀬 戸内海沿岸、薩南諸島に津波警報を発令しました。その後、種子島で14cm、室戸で13 cm、日南で12cm、土佐清水で10cmの津波第1波が観測されました(TVニュース速報に よる)。気象庁とUSGSの震源諸元は以下の通りです。 震央 深さ マグニチュード 気象庁 31.8°N 131.9°E 40 km 7.0 (Mj) USGS 31.92°N 131.42°E 10 km 6.7 (Ms) 前日の種子島近海の地震の場合とは逆に、MjがMsより大きく出ています。 ●データ処理: IRIS-DMCの準リアルタイムサービスにより広帯域地震計記録を集め ました。 観測点の方位分布は良好です。20地点のP波上下動と2地点のSH波を用いま した。震源近傍の構造として、水深3kmの海水層と厚さ10kmの地殻、その下に半 無限のマントルを置きました。波形インバージョンでは、まず断層メカニズムを決め、 次に断層面を固定して、サブイベントの時空分布を求めました。 ●結果: 解析結果を図1に示します。メカニズムは典型的な低角逆断層です。深さ の範囲は30-35kmです。Mwは6.8で、種子島近海の地震よりわずかに大きい程度です。 破壊は北東方向に進みました。主な震源パラメタを下に示します。 走向、傾斜、すべり角 = (230, 20, 106) 地震モーメント Mo = 1.8 x 10 **19 Nm (Mw = 6.8) 破壊継続時間 T = 20 s 断層面積(サブイベントの範囲) S = 30 x 15 km**2 深さ h = 33 km 食い違いの大きさ D = Mo/μS = 0.63m (μ= 64 GPa) 応力降下 Δσ = 2.5 Mo/S**1.5 = 4.7MPa ●解釈: 震源の位置を確かめていませんが、フィリピン海プレートの潜り込みに伴 うプレート間の低角逆断層と考えられます。ただし応力降下がやや高めです。また、 前日の種子島近海の地震と同じように、破壊が北東方向に向かって伝播(ユニラテラ ル)しているのが特徴的です。震源の深さは機関によってかなり違っています。これ は津波の大きさを評価する際には重要と思われます。 ◆追記(Oct.23):阿部によるとMt = 7.0 でした。 (文責:菊地正幸)