EIC地震学ノート No.138     Aug. 9, 2003

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(暫定版)◆ ------------------------------

 2003年8月4日スコッチア海の地震(M7.5)

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●概略・特徴:USGSによる速報震源は次の通りです。

     発生時刻           震央          深さ   M
 08/04 04:37:20 (UT)    60.56°S  43.49°W   shallow  7.5

●データ処理:IRISのWebデータサービスWILBER-IIから収集した広帯域
地震計記録のうち、16地点のP波上下動、3地点のSH波を用いました。
波形は複雑で、多重震源の様相を呈しています。初めに、点震源を仮定
して、2個のサブイベントのメカニズムを決めました。その結果、正断
層的な初期破壊と横ずれ的な主破壊が得られました()。次いで、主破
壊の断層面を固定して、断層すべり分布を求めました。

●結果:得られた結果を図1に示します。初期破壊付近は正断層成分を
伴うすべりが見られます。全体としては、横ずれ成分の卓越したすべり
分布です。主な震源パラメータは次のとおりです。

走向,傾斜,すべり角  (110, 64, -13)
地震モーメント    2.0x10**20 Nm (Mw=7.5)
破壊継続時間     約20 s
断層面積(主要部)  50km×25km
食い違い           Dmax=6.2 m   Daver=2.7 m
応力降下       11 MPa

●解釈その他:ハーバード大学とUSGSのメカニズム解がかなり違ってい
ますが、前者が震源の全体像を、後者が初期破壊付近のメカニズムを反
映していると考えれば、統一的に理解できます。 (文責:菊地・山中)