EIC地震学ノート No.137 EIC地震学ノート No.137               Jul. 26, 03 (Jul. 27, 03 改訂)
東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------

7月26日宮城県北部地震(Mj5.5, Mj6.2, Mj 5.3)

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● 概略・特徴: 7月26日午前0時13分(日本時間)に、宮城県北部で Mj5.5 の地震が、午前7時13分(日本時間)にはMj6.2の地震が発生しました。 宮城県では震度6強を記録しました。その後,16時56分にも震度6弱を 観測した地震が起こりました。
気象庁による速報震源は次の通りです。

    発生時刻    震央       深さ  M
A: 03/07/26 00:13 (JT) 38.43°N 141.17°E 11 km  5.5
B: 03/07/26 07:13 (JT) 38.40°N 141.20°E 12 km  6.2 (速報)
C: 03/07/26 16:56 (JT) 38.50°N 141.20°E 12 km  5.3 (速報)

●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(A:17地点のP波上下動, B:24地点のP波上下動,C:11地点のP波上下動)を用いて解析しました。
●結果: 破壊開始点として気象庁の震源を仮定して解析を行いました。その結果 を図A図B図Cに示します。主な震源パラメータは次のとおりです。
A:走向、傾斜、すべり角 =  (197, 49, 86) 
 地震モーメント  Mo  =  1.2 x10**17 Nm  (Mw = 5.3)
  破壊継続時間(主破壊) T  = 5 s
 深さ          H = 5 km
 断層面積            S = 6 km x 6 km
 食い違い       Dmax = 0.07 m

B:走向、傾斜、すべり角 =  (201, 42, 102) 
 地震モーメント  Mo  =  1.4 x10**18 Nm  (Mw = 6.0)
  破壊継続時間(主破壊) T  = 5 s
 深さ          H = 5 km
 断層面積            S = 12 km x 9 km 
 食い違い       Dmax = 0.5 m
 平均くいちがい    Da = Mo/μS = 0.4m
 応力降下         Δσ =  3.1 MPa 

C:走向、傾斜、すべり角 =  (126, 27, 112) 
 地震モーメント  Mo  =  7.1 x10**16 Nm  (Mw = 5.2)
  破壊継続時間(主破壊) T  = 5 s
 深さ          H = 10 km
 断層面積            S = 3 km x 6 km 
 食い違い       Dmax = 0.2 m
 応力降下         Δσ =  2.3 MPa 

●解釈その他:前震は観測点が偏っているため、メカニズム解の精度はあまりよく ありませんが,ともに東西圧縮の逆断層です。内陸のごく浅い地震です。破壊は 深い方から浅い方に進んだと思われます。
地表に断層が現れている可能性がありますが、その場合断層変位量は大きくても 50cm程度と思われます。
この付近には南北の走向を持つ「旭山撓曲」という活断層と推定されている 断層があります。今回の地震とこの活断層の関係が気になります。現在 現地調査が行われつつあります。
最大余震である16時56分の地震は前震,本震とちょっとメカニズムが違います。
(文責:山中・菊地)


日本の活断層 東大出版会より