東大震研情報センター
◆遠地実体波解析(暫定解)◆ ------------------------------
2002年11月3日宮城県沖の地震(Mj6.1)
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●概略・特徴:11月3日12時37分ごろ、宮城県北部沿岸を震源 とするMj6.1の地震が発生しました。宮城県北部(田尻町など)で震度 5弱を観測したほか、東北から関東の広い範囲で有感でした。気象庁に よる速報震源は次の通りです。 発生時刻 震央 深さ Ms 11/03 12:37 (JT) 38.9°N 142.1°E 45km 6.1 ●データ処理:IRISのWebデータサービスWILBER-IIから収集した広帯域 地震計記録のうち、9地点の実体波(P波上下動9とSH波7)を用いまし た。波形は概して単純です。初めに、点震源を仮定してメカニズム解と 深さを求め、ついで、低角断層面を固定して断層すべり分布を求めました。 ●結果:得られた震源モデルを図1に示します。 主な震源パラメータは次のとおりです。 深さ(破壊開始点) 50 km 走向,傾斜,すべり角 (200, 18, 82) 地震モーメント 3.6x10**18 Nm (Mw=6.3) 破壊継続時間 9 s 断層面積 20km×10km 食い違い(平均) 0.3 m (μ=60GPa) 応力降下 3.2 MPa ●解釈その他:太平洋プレートが日本列島の下に沈み込む「プレート間 地震」と考えられます。震源は1978年6月12日の宮城県沖地震(Mj7.5)の 震源域より60km余り北に位置し、我々の区域分けでは、大きいアスペリ ティの存在しない領域(地震時の断層すべりが0.5m以下)にあたります。 もしそれが合っていれば、今回の地震はこの領域での最大規模というこ とになります。 (文責:菊地・山中)