EIC地震学ノート No.128             Nov. 04, 2002

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ ------------------------------

 2002年11月3日宮城県沖の地震(Mj6.1)

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●概略・特徴:11月3日12時37分ごろ、宮城県北部沿岸を震源
とするMj6.1の地震が発生しました。宮城県北部(田尻町など)で震度
5弱を観測したほか、東北から関東の広い範囲で有感でした。気象庁に
よる速報震源は次の通りです。

     発生時刻      震央         深さ  Ms
 11/03 12:37 (JT)    38.9°N  142.1°E   45km  6.1

●データ処理:IRISのWebデータサービスWILBER-IIから収集した広帯域
地震計記録のうち、9地点の実体波(P波上下動9とSH波7)を用いまし
た。波形は概して単純です。初めに、点震源を仮定してメカニズム解と
深さを求め、ついで、低角断層面を固定して断層すべり分布を求めました。

●結果:得られた震源モデルを図1に示します。
主な震源パラメータは次のとおりです。

深さ(破壊開始点)  50 km
走向,傾斜,すべり角  (200, 18, 82)
地震モーメント    3.6x10**18 Nm (Mw=6.3)
破壊継続時間     9 s
断層面積       20km×10km
食い違い(平均)   0.3 m (μ=60GPa)
応力降下       3.2 MPa

●解釈その他:太平洋プレートが日本列島の下に沈み込む「プレート間
地震」と考えられます。震源は1978年6月12日の宮城県沖地震(Mj7.5)の
震源域より60km余り北に位置し、我々の区域分けでは、大きいアスペリ
ティの存在しない領域(地震時の断層すべりが0.5m以下)にあたります。
もしそれが合っていれば、今回の地震はこの領域での最大規模というこ
とになります。               (文責:菊地・山中)