EIC地震学ノート No.127             Nov. 03, 2002

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ ------------------------------

 2002年11月2日スマトラ島沿岸の地震(M7.5)

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●概略・特徴:11月2日8時半ごろ(現地時間)、スマトラ島北部の沿
岸を震源とするM7.5の地震が発生しました。被害状況はわかりません。
USGSによる速報震源は次の通りです。

     発生時刻      震央           深さ    Ms
 11/02 01:26:12 (UT)    3.0°N  96.2°E   shallow 7.5

●データ処理:IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録のうち、13地点の
実体波(P波上下動とSH波)を用いました。波形は単純です。初めに、
点震源を仮定してメカニズム解と深さを求めました。ついで、低角断層面
を固定して断層すべり分布を求めました。

●結果:得られた震源モデルを図1に示します。
主な震源パラメータは次のとおりです。

深さ(破壊開始点)  15 km
走向,傾斜,すべり角  (296, 12, 73)
地震モーメント    1.4x10**20 Nm (Mw=7.4)
破壊継続時間     25 s
断層面積       50km×30km
食い違い(最大)   3.5 m
    (平均)   2.7 m (μ=33GPa)
応力降下       5.8 MPa

●解釈その他:北西−南東走向、北東傾斜面の低角逆断層です。ジャワ海溝で
オーストラリアプレートがユーラシアプレートの下に沈み込むプレート間地震
と考えられます。震源が浅く、津波が発生したものと予想されます。
                         (文責:菊地・山中)
PS
<その1>
 1ヶ月ほど前から、これまで使っていたIRISの準リアルタイム波形デー
タサービスspyderが閉鎖されたため、WebのデータサービスWILBER-IIから
データをダウンロードしました。当方ではまだこの変化に対応しきれてい
ないため、しばらくの間、情報発信の時間が遅れることになります。

<その2>
 これを書いている最中に(Nov.03 12:38)、やや大きい地震がありました。
気象庁の速報によると、震源は宮城県北部沖合、深さ50km、M6.2とのこと。
1978年の震源域の北側に位置するようです。  (MK)