EIC地震学ノート No.126             Oct. 12, 2002

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ ------------------------------

 2002年10月10日イリアンジャヤの地震(M7.1)

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●概略・特徴:10月10日夜8時少し前(現地時間)、イリアンジャヤの
マノクアリ南方約300kmを震源とするM7.1の地震が発生しました。今のところ
被害状況はわかりませんが、規模からみて被害がでている可能性があります。
USGSによる速報震源は次の通りです。

     発生時刻      震央            深さ    M
 10/10 10:50:20 (UT)    1.71°S  134.16°W  shallow 7.1

●データ処理:IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録のうち、16地点の
実体波(P波上下動とSH波)を用いました。波形はやや複雑で、多重震
源の様相を呈します。初めに、メカニズム可変で3つのサブイベントを求
めました。いずれも横ずれ型のメカニズムが得られました。そこで次に、
断層面を固定して断層すべり分布を求めました。北東南西走向または北西
南東走向のうち、後者の方が、わずかに観測波形を良く説明しますが、確
定的ではありません。

●結果:得られた震源モデルを図1に示します。
主な震源パラメータは次のとおりです。

深さ(破壊開始点)  21 km
走向,傾斜,すべり角  (147, 85, -174)
地震モーメント    2.0x10**20 Nm (Mw=7.5)
破壊継続時間     19 s
断層面積       50km×30km
食い違い(最大)   3.3 m
    (平均)   2.1 m (μ=64GPa)
応力降下       8.6 MPa

●解釈その他:南北圧縮、東西引張のほぼ純粋な横ずれ型断層です。破壊は
震源断層の南東端から北西方向に向かったと考えられます。
                         (文責:菊地・山中)