EIC地震学ノート No.122             Apr.27, 2002

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ ------------------------------

 2002年4月27日マリアナの地震(M7.1)

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●概略・特徴:4月27未明2時6分(現地時間)、マリアナ諸島グアムの南西
50km付近を震源とするM7.1の地震が発生、グアム島内で少なくとも負傷者5人の
ほか、ほぼ全域で停電しました。USGSによる速報震源は次の通りです。

     発生時刻      震央           深さ  M
 4/26 16:06:06 (UT)    13.11°N  144.56°E   75km 7.1

●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録のうち、20地点のP波上
下動を用いました。初めに、反射相(pP,sP)を含む波形について点震源を仮定して
メカニズム解と深さを決め、次いで、直達P波について断層面を固定して断層す
べり分布を求めました。

●結果:得られた震源モデルを図1に、波形比較を図2示します。
主な震源パラメータは次のとおりです。

 深さ        H = 75 km 
 走向、傾斜、すべり角 = (271, 11, 110)
 地震モーメント   Mo = 4.4x10**19 Nm    (Mw = 7.0)
  破壊継続時間(主破壊) T  = 10s
 断層面積           S=25km×25km
 食い違い      D = 1.1m  Dmax=2m
 応力降下     Δσ = 7.0 MPa

●解釈その他:メカニズムはほぼ水平面と鉛直面をP波節面とする縦ずれ断層です。
波形の一致は水平面を断層面とする場合の方がわずかながら良好ですが、有意な差で
はありません。スラブ内部のDown-dip extensionの地震と思われます。
今回の震源の近くで、1993年8月8日にM8の地震が起こっています(YCU-report #25)。
このときは津波が発生し、日本でも弱い津波が観測されました。
プレート間カップリングが弱い代わりにスラブの変形に関係した大きな地震が比較的
頻繁に起こるように思われます。          (文責:菊地・山中)