EIC地震学ノート No.121       Mar.31, 2002 (rev. 02/04/01)

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(改訂版)◆ -------------------------------------

 2002年3月31日台湾東部沿岸の地震(Mj7.3)

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●概略・特徴:3月31日午後3時53分(日本時間)、台湾花蓮市沿岸を震源と
するM7.3の地震が発生、与那国島で震度3を記録しました。この地震に対し、気象
庁は4時2分に宮古島・八重山地方に津波警報を、沖縄本島地方に津浪注意報を発
令しましたが、4時40分ごろ解除しました。与那国島で4時16分に20cmの潮位
変動を記録しました。報道によると台北などで死者4名、負傷者数百名がでた模様
です。気象庁による速報震源は次の通りです。

     発生時刻      震央     深さ   Mj
 3/31 15:53 (JT)    24.1°N  121.8°E  20km 7.3

●データ処理:IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録のうち、10地点のデータ
P波上下動+SH波)を用いました。記録は単純な形をしています。点震源を仮定して
メカニズム解を決め、次いで断層面を固定してすべり分布を求めました。

●結果:結果を図1に示します。主な震源パラメータ
は次のとおりです。

 深さ        H = 30 km 
 走向、傾斜、すべり角 = (260, 28, 111)
 地震モーメント   Mo = 6.4x10**19 Nm    (Mw = 7.1)
  破壊継続時間    T  = 20s
 断層面積(主破壊)  S=50km×30km
 食い違い      D = 0.7 m  Dmax=2 m
 応力降下     Δσ = 2.8 MPa

●解釈その他:メカニズムは低角逆断層です。フィリピン海プレートがユーラシア
プレートに沈み込むプレート境界地震と考えられます。震源の位置と規模から見て、
台湾東部での被害が気になります。

(改訂版)逆断層の場合、遠地P波のみでは走向が決まりにくいので、改訂版では
 SH波を加えました。
                              (文責:菊地・山中)