EIC地震学ノート No.116 Feb.03, '02 (rev. 02/02/05)

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(改訂版)◆ ---------------------------

  2002年2月3日トルコ西部の地震(Ms6.2)

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●概略・特徴: 3日朝9時11分(現地時間)、トルコ西部を震源とするMs6.2の
地震がありました。TVニュースによると死者45人、負傷者150名余が出た模様です。
USGSの速報震源(QED)は次の通りです。

  発生時刻             震央         深さ   Ms
 02/02/03 07:11:29.2 (UT)   38.56°N  31.11°E  shallow 6.2

●データ処理: IRIS-DMCの準リアルタイム波形データサービス(spyders)から18点
の広帯域実体波(P波上下動)記録を収集しました。多くの波形はノイズにじゃま
され、実際に波形解析に使用したのは9点の記録です。はじめに点震源を仮定し、メ
カニズム解を求め、ついで断層面を固定して断層すべり分布を求めました。

●結果:図1図2(地図上)に結果を示します。図1のすべり分布図で、右が
西(走向272°)です。主な震源パラメーターは以下の通りです。

 (走向、傾斜、すべり角)=(272, 51, -54)/(52,46,-120)
 地震モーメント   Mo = 3.0x10**18 Nm  (Mw = 6.3)
  破壊継続時間(主破壊)  T = 10 s
 深さ(破壊開始点)    H = 10 km
 断層面積(主破壊)       S = 20×10 km**2
 食い違い  D mean = Mo /μS = 0.5 m (μ= 30GPa)
 応力降下  Δσ = 2.5 Mo/ S**1.5 = 2.7 MPa

●解釈その他:観測記録がノイズにじゃまされているため、解の精度は良くありません。
当初、震源を深めに算出していましたが、改訂版ではごく浅くなりました。初期破壊点
から主破壊までの時間が長めで、かつ、複雑です。メカニズムは、やや横ずれ成分を含
む正断層型断層です。より詳細な震源のプロセスは現地の記録から明らかになるでしょう。
                          (文責:菊地・山中)