EIC地震学ノート No.112 Dec.03, '01

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(暫定版)◆ ---------------------------

  2001年12月2日岩手県内陸南部の地震(Mj6.3)

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●概略・特徴: 2日夜10:02、宮城県古川市で震度5弱を記録したほか、東北・北
海道・関東の広い範囲で震度3,4の揺れを記録しました。気象庁によると震源は
岩手県内陸南部で、深さ約130km、マグニチュードは6.3でした。気象庁の速報震源
は次の通りです。

  発生時刻          震央          深さ    Mj
 01/12/02 22:02 (JT)     39.4°N  141.3°E   130km   6.3

●データ処理: IRIS-DMCから25点の広帯域実体波(P波上下動)記録を収集しま
した。初めに、点震源を仮定してメカニズム解を求めました。

●結果:図1に結果を示します。主な震源パラメーターは
以下の通りです。

 (走向、傾斜、すべり角)=(181, 88, -95)/(69, 5, -22)
 地震モーメント   Mo = 8.0x10**18 Nm  (Mw = 6.5)
  破壊継続時間    T = 約 6 s
 破壊開始点の深さ    H = 115 km
 断層面積     S = 10x10 km**2
 食い違い  D mean = Mo /μS = 1.3 m (μ= 60GPa)
              Dmax = 1.5 m
 応力降下  Δσ = 2.5 Mo/ S**1.5 = 20 MPa

●解釈その他:潜り込む海洋プレート(スラブ)内部で、潜り込み方向に働く引っ
張り力による震源メカニズムです。ほぼ南北に走向を持つ鉛直西落ちの断層または
水平断層で上側が東に動いた断層のいずれかです。若干ながら前者の方が波形の一
致がよくなりますが、その差は有意ではありません。
                    (文責:菊地・山中)