EIC地震学ノート No.106 July 7, '01

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(暫定版)◆ ---------------------------

  2001年7月5日八丈島近海の地震(Mj5.6)

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●概略・特徴: 気象庁によると青ヶ島の近くで6月末から地震活動が活発になり
7月4日からはM5を超える地震が起こっています。これはそのうちの1つです。
気象庁の速報震源は次の通りです。

  発生時刻        震央          深さ    Mj
 07/05 02:48 (JT)     32.0°N  139.9°E   30km  5.6

●データ処理: IRIS-DMCから4点の広帯域実体波(P波上下動)記録を収集しまし
た。初めに、点震源を仮定してメカニズム解を求めました。

●結果:図1に結果を示します。主な震源パラメーターは以下の通りです。
左下の図は東傾斜の断層面を仮定したときの断層すべり分布です。

 (走向、傾斜、すべり角)=( 8, 51, -96)/(194, 39, -86)
 地震モーメント   Mo = 6.0x10**17 Nm  (Mw = 5.8)
  破壊継続時間    T = 約3 s
 破壊開始点の深さ    H = 16 km
 断層面積     S = 6x4 km**2
 食い違い  D mean = Mo /μS = 0.4 m (μ= 60GPa)
 応力降下  Δσ = 2.5 Mo/ S**1.5 = 13 MPa

●解釈その他:東西引っ張りの正断層型です。データが少ないので確かなことは言
えませんが、震源は浅く、海底下約10kmと思われます。   (文責:菊地・山中)