EIC地震学ノート No.104       Apr.25,'01

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(暫定版)◆ ---------------------------

  2001年4月25日 日向灘の地震(Mj 5.6)

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●概略・特徴: 4月25日深夜、日向灘を震源とする地震がありました。四国・九
州東岸を中心に最大震度4の揺れを記録しました。気象庁による震源速報は以下の通
りです。

  発生時刻      震央     深さ   Mj
 04/25 23:40(JT)  32.8°N 132.3°E  30km   5.6

●データ処理: IRIS-DMCから11点の広帯域実体波(P波上下動)記録を収集しまし
た。地表での反射相がよく見えていますので、深さは良く決まります。点震源を仮定
してメカニズム解を求め、次いでP波節面の1つを断層面としてすべり分布を求めま
した。

●結果: 図1に結果を示します。メカニズム解は東西引っ張りの正断層です。
主な震源パラメータは次のとおりです。

 (走向、傾斜、すべり角)=(176, 82, -89)
 地震モーメント   Mo = 3.3x10**17 Nm  (Mw = 5.6)
  破壊継続時間    T = 約 3s
 破壊開始点の深さ  H = 37 km
 断層面積     S = 6km x 4km
 食い違い    D = Mo /μS = 0.21m (μ= 64GPa)
 応力降下    Δσ = 2.5 Mo/ S**1.5 = 6.7 MPa

●解釈その他: 震央と深さから見て、潜り込むフィリピン海プレート(スラブ)内
部の地震と考えられます。先月の芸予地震とほぼ同じメカニズムです。
 なお、この地震のメカニズム解(速報)は機関ごとに大きく異なっています。ハー
バード大学と防災科技研は横ずれ型、USGSは我々と同じ正断層型です。「東西引っ張
り」は共通です。                   (文責:菊地・山中)