EIC地震学ノート No.90 Aug. 06 '00
東大震研情報センター
◆遠地波形解析(暫定解) ◆ ---------------------------
8月6日鳥島近海の深発地震(M 7.3)
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● 概略・特徴: 8月6日午後4時30分ごろ、鳥島近海の深さ430kmを震源とす る地震があり、小笠原で震度4のほか、北は東北から西は四国まで、広い範囲で 地震を感じました。気象庁の速報震源は次の通りです。 発生時刻 震央 深さ M 16:28 (JT) 28.9°N 140.0°E 430 km 7.3 ●データ処理:IRIS-DMCの15点の遠地P波広帯域地震計記録を用いました。波形 は多重震源の様相を呈しています。メカニズムの変化を許したインバージョンで、 2個のサブイベントを求めました。 ●結果:結果を図1に示します。2つのサブイベントのメカニズムはほとんど 同じです。全体の震源パラメーターは次のとおりです。 走向、傾斜、すべり角 = (98, 38, -152)/(345, 73, -55) 地震モーメント Mo = 1.2x10**20 Nm (Mw = 7.3) 破壊継続時間 T = 11 s 主要破壊の深さ H = 430 km (気象庁による) 断層面積(方方向伝播を仮定:L=10sx3.0km/s=30km;W=L/2) S = 30x15 km**2 食い違い D = Mo /μS = 3.7 m (μ=70GPa) 応力降下 Δσ = 2.5 Mo/ S**1.5 = 31 MPa ●解釈その他:潜り込むプレート内部の地震と思われます。潜り込み方向に圧 縮軸を持つ正断層型(Down-dip compression)です。深発大地震に共通に見られ る多重震源(2〜3連発)です。 (文責:菊地・山中)