EIC地震学ノート No.77              Jun. 03, 00

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(暫定版)◆ ----------------------------------------

6月3日千葉県北東部の地震(M 5.8)

---------------------------------------------------------------------


●概略・特徴:6月3日(土)夕方5時54分に千葉県北東部を震源とするM5.8の
地震がありました。千葉県多古町で震度5弱を記録するなど関東地方を中心にかな
りの揺れがありました。気象庁による速報震源は次の通りです。

    発生時刻       震央    深さ  マグニチュード
 06/03 17:54 JT   35.7°N  140.8°E   50km   5.8 (Mj) 

● データ処理: IRIS-DMCのデータをWeb(WILBER)から収集しました。解析には7地
点の広帯域地震計記録(P波上下動)を用いました。

●結果:解析結果を 図1 に示します。主な震源パラメータは以下のとおりです。

 走向、傾斜、すべり角 =  (182, 16, 88)
             東西圧縮の低角逆断層
 地震モーメント     Mo  =  1.5 x10**18 Nm  (Mw = 6.1)
  破壊継続時間      T  = 3.5 s 
 深さ(Centroid)      H = 50 km
 断層面積(双方向破壊伝播を仮定)  L = 2x2.5km/sx3s = 15km
             S = LxL/2 = 15x7.5 km**2
 くいちがい        D = Mo/μS = 0.21 m   (μ=64 GPa)
 応力降下         Δσ = 2.5Mo/S**1.5 = 3.1 MPa

● 解釈その他:東西圧縮の低角逆断層です。メカニズム及び応力降下とも、太平洋
プレートが日本列島の下に潜り込む典型的なプレート間地震であることを示してい
ます。                                   (文責:菊地・山中)