EIC地震学ノート No.167 Jul 25, 05 東大地震研究所 ◆遠地実体波解析(暫定解)◆ -------------------------------------- 7月24日のニコバル諸島沖の地震(M7.2) ----------------------------------------------------------------● 概略・特徴: 7月24日夜9時12分ころ(現地時間)にニコバル諸島沖でM7.2の地震が発生しました。
発生時刻 震央 深さ M 05/07/24 15:42:05 (UT) 7.926°N 92.142°E 10.0 7.2
●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動43観測点, S波11観測点)を用いて解析しました.
●結果: 結果を図1に示します。主な震源パラメータは次のとおりです.
走向、傾斜、すべり角 = (122, 77, -179) 地震モーメント Mo = 1.2 x10**20 Nm (Mw = 7.3) 破壊継続時間(主破壊) T = 20 s 深さ H = 17 km 断層面積(WxL) S = 50 x 30 km 食い違い Dmax = 約 3 m
●解釈その他:
今回の地震は2004年12月に起きた巨大スマトラ地震の破壊域の中で起こりました.
この付近はスンダ海溝からインド−オーストラリアプレートがユーラシア(ビルマ)
プレートの下に沈み込んでいるところですが,この地震はプレート境界地震ではなく,
高角な断層面を持つ横ずれの地震で,プレート内の地震でした.昨年9月に起きた
紀伊半島沖の地震のような地震です.
2つの節面のうち北東−南西の走向を持つ方を断層面と仮定すると北側の観測点
の波形の合いが悪くなることから,北西−南東の走向をもつ節面を断層面としました.
下図は今回の震源付近での昨年末のスマトラ地震すべり分布に今回の地震の震源をプロットした
ものです.昨年末のスマトラ地震では今回の地震の南側の海溝付近で大きなすべりがありました
が,その北側はほとんどすべっていませんでした.
文責:山中