EIC地震学ノート No.162 Feb. 23, 05 東大地震研究所 ◆遠地実体波解析(暫定解)◆ -------------------------------------- 2月22日イランの地震(Ms6.4) ----------------------------------------------------------------
● 概略・特徴: 2月22日2時25分(UT)にイラン南東部ケルマン州で
Ms6.4の地震が発生しました。この地震で倒壊した家屋の下敷きになるなどして
約400人以上が死亡、千人以上が負傷したとも言われています.
USGSによる速報震源は次の通りです.
発生時刻 震央 深さ M 05/02/22 02:25 (UT) 30.80°N 56.80°E 40 km 6.4
●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動27,SH波3)
を用いて解析しました.
●結果: 結果を図に示します。
主な震源パラメータは次のとおりです.
走向、傾斜、すべり角 = (259, 60, 99) 地震モーメント Mo = 4.0 x10**18 Nm (Mw = 6.3) 破壊継続時間(主破壊) T = 10 s 深さ H = 10 km 断層面積 S = 20 km x 15 km 食い違い Dmax = 0.6 m
●解釈その他: この付近の活断層マップ(
International Institute of Earthquake Engineering and Seismology HPより)を
見るとたくさんの活断層が複雑に存在することがわかります.この付近だけを取り出した
図が下図です.現時点で決められた震源の位置の付近にはKuh Banan断層があり,その
走向が東西に変わっているあたりになるようです.もしそうであれば今回求まったメカニズム
(走向が東西で北落ちの逆断層)はこれによくあいます.震源は浅めでおよそ10kmで破壊は
浅い方に進みました.
今回の地震の南東では2003年12月26日に多くの犠牲者を出した
Mw6.5の地震が起こっています(EIC地震学ノートNo.145).
黒いコンターは今回の地震のすべり分布.(間隔は0.1m)青い★が今回の震源である. 背景の活断層マップはIIEESのHPのものを使わせて頂いた.
(文責:山中)