EIC地震学ノート No.113 Dec. 18, 2001
東大震研情報セ ンター
◆遠地実体波解析(改訂版)◆ ---------------------------
2001年12月18日与那国島近海の地震(Mj 7.3)
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●概略・特徴:18日13時2分与那国島近海を震源とするMj7.3の地震が ありました。気象庁はこの地震に対して直ちに津波注意報を出しました。 新しい津波予報(量的津波予報)システムができてから初めての注意報で す(14時20分に解除されました)。気象庁によると与那国島で震度4、 ±10cmの津波が観測されました。同庁の速報震源は次の通りです。 発生時刻 震央 深さ Mj 01/12/18 13:03 (JT) 23.9°N 122.8°E 10km 7.3 ●データ処理:IRIS-DMCから24点の広帯域実体波(P波上下動)記録を収集 しました。まず点震源を仮定してメカニズムを決め、次いで断層面を固定し て、断層すべりの時空分布を求めました。 ●結果:図1に結果を示します。主な震源パラメーターは 以下の通りです。 震源の深さ H0 = 18 km (走向、傾斜、すべり角)=(222, 54, -64) 地震モーメント Mo = 1.3x10**19 Nm (Mw = 6.7) 破壊継続時間 T = 10s 主破壊部分の断層面積 S = 25kmx10km 最大すべり Dmax = 1.5m 平均滑り D = Mo/μS = 1.3m (μ=40GPa) 応力降下 Δσ = 2.5Mo/S**1.5 = 8.2MPa ●解釈その他:震源の位置とメカニズムから判断して、ユーラシアプレート 内部の北西-南東引っ張り(背弧拡大に関係した張力)による正断層型地震と 考えられます。 Abeによる津波マグニチュードはMt=6.9(西表島で最大高20cm)です。 (文責:菊地・山中)