第3章 実施内容

 

3.1 地震発生に至る地殻活動の全容の把握

(いろいろなスケールの揺らぎの解明)
 地震発生の予測が一般に難しいのは、それがいろいろなスケールの力学的・熱的構造の不均質と応力状態の揺らぎに強く依存していること、また、そうした揺らぎの原因についての我々の知識がまだ不十分であり、その推移を必要な精度で予測できないためである。逆に、もし、いろいろなスケールの構造不均質を明らかにし、いろいろなスケールの状態揺らぎを観測によって捉え、両者を地下の物理過程として関係付けることができるならば、地震発生の定量的予測への手がかりが得られると期待される。
(4つの研究項目の柱)
 このような観点から、研究対象を大きく「列島全域規模」と「震源域規模」の2つの階層構造に分け、さらに、震源域規模の構造については「準備過程」、「直前過程」、「震源過程」という3つの異なる段階・時間刻みに分ける。これにより、4つの研究項目の柱: (1) 列島全域の地殻活動、(2) 地震準備過程、(3) 地震直前過程、(4) 震源過程、をたてる。それぞれは独立の研究内容を持つが、より重要なことは「地震発生総合予測システム」の構築へ向かって互いに有機的に関連付けられることである(図1)。

 

図1 4つの研究の柱の連関

(1) 列島全域解明 : (2) - (4) 震源域解明
   => 準備過程の進んだ領域の抽出、個々の震源域の境界条件
   <= 準備・直前段階を特徴づける観測量、境界条件へのフィードバック

(2) 準備過程 : (3) 直前過程
   => 最終段階の領域の抽出、稠密観測体制
   <= 最終段階を特徴づける観測量・現象

(3) 直前過程 : (4) 震源過程
   => 応力分布・固着域の分布、予想破壊開始点
   <= 直前の応力分布の一般的特徴、現場の摩擦滑り則

(4) 震源過程 : (1) 準備過程
   => アスペリテイ・応力解放の分布
   <= 強度回復過程の不均一進行とアスペリテイの比較