YCU地震学レポートNo.42                                June 17,95

        6月15日  ギリシャ西部の地震のメカニズム


6月15日未明(現地),ギリシャ西部で地震がありました。少なくとも十 数名の死者がでたと伝えられています。アテネ地震研究所によると,震源はエ イオン沖海底(アテネの西150km)で,規模はM6.1でした。USGS による速報(QED)では 発震時:00:15:51 UT 震央 :38.375°N 22.160°E 深さ: Normal マグニチュードMs: 6.5 です。また,いつものように,東大地震研究所,ハーバード大学,及び,US GSのメカニズム解が出ています。当方の解はこれらとほぼ同じ(ただしモー メントが小さめ)であり,あえてレポートにするまでもないのですが,メモ代 りに残しておきます。 IRISの遠地記録を用いたインバージョンの結果を図1に示します。主な 震源パラメータは次の通りです。 メカニズム モーメント Mw 継続時間 深さ (str,dip, rake) ( 87, 69, -110) 2.9x10**18 Nm 6.2 5.0 s 8 km メカニズムは南北引っ張りの正断層,破壊様式は単発です。そのため,空間的 な広がりがよくわかりません。仮に,破壊伝播時間をτ= 3 s, 破壊速度を v= 2.5 km/s とし,両側に進行したとしますと 断層面積 S= 15x7.5 km**2 くいちがい量 D= 0.84 m 応力降下 Δσ= 6.0 MPa (60bar) と見積られます。 なお,1992−1993年の建築研究所国際地震工学コースで,研修生の ペリクリス (Periklis Beltas)さんが,当方における個人研修の中で,コリ ンス湾の地震をいくつか解析しています。(日付,Mw)は,(81/02/24,6.5) (81/02/25,6.2), (81/03/04,6.3),(92/11/18,6.0)です。これらのメカニズム はいずれも今回と同じ「南北引っ張りの正断層型」です。