YCU地震学レポートNo.41                                May.29,95

         5月27日  サハリン地震のメカニズム解析(暫定版)
 

5月27日13時3分(日本時間22時3分),サハリン北部を震源とする 地震がありました。死者行方不明者は3000人以上とも伝えられています。 USGSによる地震諸元は次の通りです。 発震時:13:03:55s 震央 :52.5°N 142.9°E 深さ: Normal マグニチュードMs: 7.6 当方にはこれ以外のデータは何もありません。このクラスの地震ならば, M5.5以上の余震があってもよさそうですが,いまのところ起っていないよ うです。とりあえず,IRISの記録を用いた遠地実体波インバージョンの結 果をお知らせします。 主な特徴は,横ずれ型のメカニズムであること,震源が大変浅いこと(10 km以浅)などです。また,主に2つのサブイベントから成り,2番目は北側 約20kmに位置します。主な震源パラメータは次の通りです。 嗣涓抑歡 メカニズム モーメント Mw 継続時間 深さ (str,dp,rk) #1 ( 3,82, 146) 1.1x10**19 Nm 6.6 0- 8 s 5 km #2 (200,71,-172) 2.8 6.9 5-13 5 全体 (197,78,-165) 3.6x10**19 Nm 7.0 0-13 s 5 断層面積をS=30x15 km**2 と仮定して くいちがい量 D=2.7 m 応力降下 Δσ=9.4 MPa (94 bar) 図1にメカニズム解,波形の比較を示します。 これを見てわかりますように,メカニズムは,北東−南西圧縮の横ずれ断層 です。断層面としては,南北面または東西面の2通りがありますが,2つ目の サブイベントが北に進んでいることから,前者が断層面と考えられます。この 場合,右横ずれ型断層となります。震源の浅さからみて,もし震央がサハリン 島内部にあれば,地震断層も現れているのではないかと思われます。 なお,応力降下はやや高めで,内陸型地震(プレート内)の特徴を示してい ますが,断層面積があいまいなため,まだ暫定値です。プレート境界のトラン スフォーム型断層の可能性もあるとのことを耳にしています。 余録:地震発生の翌日から風邪で寝込んでいましたが,何とか復調してレポ ートを出すことができました。皆さん,夏かぜにご注意を! (MK)