YCU地震学レポートNo.36 Jan.15,95
1月7日茨城南西部、1月10日茨城沖地震の メカニズム
このところ,あちこちで地震が頻発しています。今回はこのうち茨城県周辺
の2つの地震について報告します。(震源の位置については図1参照)
1。1月7日茨城県南西部の地震
夜9時34分ごろ水戸と日光で震度�犬魑�録しました。つくばもかなり揺れ
たようです。広帯域地震記録を図2に示します。TOK(東京)の STS-1型地
震計(気象研所属)はS波部分で振り切れています(最大地動速度 1.3kine以
上)。また,CHU(千葉大)のSTS-2は振り切れ寸前でした(最大地動速度1.1
kine)。これら2地点の水平動が極端に大きいのが目につきます。
気象庁の震源情報は次の通りです。
震央: 36.3N, 140.0E; 深さ H=70km; M=5.2
当方の解を図3に示します。CHSのP波&SH波,CHU,TOK,TKO
及びYCUのP波を用いました。明らかに2,3連発のマルチプルショックで
す。主な震源パラメタは
メカニズム (走向,傾斜,すべり角)=(223,23,136)
低角逆断層型のプレート間地震
地震モーメント Mo=2.1x10^24 dyne-cm (Mw=5.5)
主破壊の破壊継続時間 T=1.7s
Mwは気象庁のMより大き目です。
2。1月10日茨城県沖地震
朝未明3時ちょうどの地震でした。日光で震度�慶�度でしたが,規模は1月
7日の地震よりずっと大です。気象庁とハーバード大学の震源情報によると
震央 深さ M
気象庁 35.90N, 141.40E 30 km 6.3
HRV CMT 35.79N, 141.50E 24.7km 5.9 (Mw)
当方の解を図4に示します。IRISの広帯域遠地実体波記録を解析したもの
です。主な震源パラメタは次の通りです。
メカニズム (走向,傾斜,すべり角)=(196,9,82)
地震モーメント Mo=8.6x10^24 dyne-cm (Mw=5.9)
主破壊の破壊継続時間 T=5s
破壊面積 S=10x5〜8x4 km^2
くいちがい D=Mo/μS (μ=3.7x10^11dyne/cm^2:剛性率)��0.46〜0.72m
応力降下 Δσ=2.5Mo/S^1.5=60〜120 bar
ほぼ純粋な低角逆断層型のメカニズムです。前の地震と同じく,太平洋プレー
トの潜り込みに伴うプレート間地震と考えられます。近地広帯域記録の解析で
もほぼ同じメカニズムとモーメントが得られています(Y.I.)。
震源地は鹿島海山がまさに日本列島の下に潜り込もうとしている場所です。
1982年 7月23日に,今回の地震の北東約30km付近で M7.0(Mw6.9)の地震が起っ
ています(メカニズム,応力降下とも今回とほぼ同じ)。
◆余録◆
このところ,北は北海道から南は神津島近海まで,日本列島周辺で地震がた
くさん起っています。これについて,新聞・テレビで様々な解説がなされてい
ます。大地震の「連動説」や「南下説」,さらにはその延長上に「南関東直下
型地震の間近説」があるようです。私にはそれがどの程度根拠のあるものか分
りませんが,今の時点ではあまり憶測を混じえずに,成り行きを冷静に見るこ
とが大切と思われます。少なくとも,最近南関東で起っている有感地震は,い
ずれも,日ごろから活動の盛んな”地震の巣”で起っているものです。
(M.K.)