YCU地震学レポートNo.29                                    May 02,94

   4月29日アルゼンチン深発地震と4月30日種子島近海地震の解析 


今回も遠地実体波の解析を中心に報告します。なお,IRISによる広帯域 記録の電子メールサービスに”異変”があったようです。gopherに loginする と次のような”無念のmessage”がありました。 "Because of repeated security problem and numerous hacker attacks, we are no longer providing a direct login to the SPYDER (used to be GOPHER) account. One must now go through the IRIS bulletin board system using its standard login procedure and the choose the 'spy' option. All display and data retrieval facilities are still avail- able. We are sorry for the inconvenience." 1。アルゼンチンの深発地震 4月29日,サンチエゴ・デルエステロ( Santiago Del Estero)市を震央 とする深発地震が起こりました。今年1月11日ペルー・ボリビア国境で起こ った深発地震と同規模です。この付近では大きめの深発地震がよく起こるらし く,GDSN(グローバルデジタル地震計観測網)のCD-ROM記録リストでも何 個か見つかりました。(たまたま当研究室の学生Hが卒研用にこれらの深発地 震を調べていました。) QED(USGS地震速報)による震源諸元は次の通りです。 発震時 94/04/29 07:11:29 UT 震央 28.4S 62.8W 深さ 571 km マグニチュードmb 5.8 10地点の遠地実体波(P波上下動)を用いた波形インバージョンの結果を図1 に示します。メカニズム解(走向φ傾斜δすべり角λ),地震モーメントMo, 破壊継続時間τなどは次の通りです。 (φ,δ,λ)=(175,67,-104) 正断層型 Mo=2.3x10**26 [dyne-cm] (Mw=6.8) τ=4.4 [s] Mo/τ**3=2.7x10**23 [dyne-cm/s**3] 震源時間関数は3,4個のサブイベントから成るマルチプルショックの様相を 呈しています。これは1月11日ペルー・ボリビア国境の深発地震の震源関数 と酷似しています(YCUレポート#27参照)。 2。種子島近海地震 4月30日昼ごろ九州南東部に地震があり,宮崎,都城,油津では震度�犬� 記録しました。地震発生後まもなく九州各地の海岸などに「津波注意報」が出 されました。気象庁の速報による震源は次の通りです。 震央 31.1°N 131.7°E 深さ 60km マグニチュードMj=6.7 津波注意報の根拠はおそらく M6.7 にあったと思われます。しかし,ニュース 速報後すぐ地震計のモニター記録を見たのですが,振幅も継続時間も大したこ とがなく,この「津波注意報」には意外な感じがしました。 南関東の広帯域ネットの地震記録を図2に示します。震央距離Δ〜900 kmに おいて,水平成分の最大振幅はA〜80μです。マグニチュードを計算すると Ms= log A + Q = 5.6 (G-Rの式) M = log A + 1.73 log Δ - 0.83 = 6.2 (坪井の式) となります。 QEDによるマグニチュードはmb=5.5でした。IRISの電子メールサービ スでは,かろうじて5地点の遠地記録が手に入りました。かなりノイズに埋も れた記録ですが,反射相(pP,sS)がはっきり識別できるので,震源の深さは 精度よく求まります。波形インバージョンの結果を図3に示します。得られた 震源パラメタは次の通りです。 メカニズム解 (φ,δ,λ)=(186,30,57) 低角逆断層型 深さ h=23 [km] Mo = 5.6x10**24 [dyne-cm] (Mw=5.8) τ = 3 [s] Mo/τ**3 = 2.1x10**23 [dyne-cm/s**3]