YCU地震学レポートNo.24付録                         Jul.26,93

    7  月  1  2  日  北  海  道  南  西  部  地  震 MJ7.8
    遠  地  広  帯  域  地  震  記  録  の  解  析 (改定版)  


先日No.24を送った後,遠地実体波の解析を再度行なってみました。今 回は,「断層メカニズム=不変」の拘束条件を取り除き,「メカニズムの変化 を考慮したインバージョン」(Kikuchi & Kanamori, 1991,BSSA,Vol.91, 2335-2350参照)を試みました。 得られた結果を図1(-a-b1-b2)に示します。4個のサブイベントから 成る破壊過程ですが,大別して2つのメカニズムに分けられます。1つは, 初期破壊点近くのもので,西向き緩傾斜/東向き急傾斜の逆断層,もう1つは, 南方60〜100km付近のもので,西向き急傾斜/東向き緩傾斜の逆断層解 です。前者は深さ12km前後,後者は浅い方にかなりのウェートを持ちます。 震源パラメタの明細を表1に示します。なお,前回の解もそうでしたが,震央 から南方約40kmほどのところに,サブイベントのほとんどない領域があり ます。何やら構造的なギャップがあることが示唆されます。 今回の結果は,CMT解や稍近地の長周期波の解析結果(北大中西氏私信) に調和的で,また,遠くはミシガン大学の解釈(佐竹氏私信=>複数断層の可 能性)にも好都合のものです。トータルな地震モーメントの大きさについては まだ若干不満がありますが,とりあえず,当方の第2回目の暫定解として,報 告します。(M.K) 表1 サブイベントの震源パラメタ No 時間 位置* 深さ 走向 傾斜 すべり Mo sec km km ** x10**25dyn.cm 1 6-16 0 12 193 31 77 112 2 18-28 0 4 202 36 82 82 3 28-43 60-80 8 187 65 111 55 4 39-89 90-110 4-12 192 73 102 229 ------------------------------------------------------------------- Total 186 57 88 364 -3.5(non D.C) * 震央から南へ測った距離 ** 個々のメカニズムについて,P波節面のどちらが断層面かは決めてい ません。