YCU地震学レポートNo.20                                 Feb.9,93
 
        1月11日愛知県中部地震の震源解析              
        1月15日の釧路沖・1月19日の日本海地震のScS解析 
        2月7日の能登半島沖の遠地実体波解析             


 前回報告した川奈崎沖の群発地震の期間中に,愛知県の下でやや大きめの地 震がありました。すでに皆さんの記憶にはないと思いますが,ここに解析結果 を報告しておきます。また,今回はこれまでと少し毛色の異なる報告を織り 込みました。1つは,1月15日の釧路沖地震と19日の日本海地震について のScS相の解析です。わがネットワークの1つの効果的な活用法として,皆 さんに興味を持って頂ければ幸いです。もう1つは,2月7日の能登半島沖の 地震の遠地実体波解析についてです。(MK) 1.1993年1月11日愛知県中部(MJ=5.0)のMT解析
  珍しく愛知県地方で大きな地震があったのでとりあえずメカニズム解を推定 してみた。気象庁によると震源要素は 1993年1月11日09時58分 震央 35.2N 137.4E 深さ 42km マグニチュード 5.0 とあり,沈み込むフィリピン海プレート沿いに発生している(図1)。単純な 逆断層タイプか?と予想されるところである。  名大センターによる震源分布に重ねてみると,プレートで地震活動が活発な 部分の先端近くに震源が位置することがわかる。  解析にはSN比の良いデータが得られた犬山(INU),松代(MAJO) 高尾(TKO),菅野(SGN)のVBB記録を用いた。なぜかINUを含め て解析を行なうとうまく解けないので,まずは他の3点による解析をおこなっ た。いずれも前処理として20秒のローパスフィルターをかけた。 解を図2aに示す。解は予想に反して(?)南北圧縮の横ずれタイプであっ た。地震モーメントは2x10**23dyn.cm(Mw4.8)と求められた。合成記録 も良く観測波形を再現していると言える(図3-1)  (図3-2)。  INUについては1点だけで再調査をおこなった。このインバージョンでは 5秒のローパスフィルターをかけてある(図4)。解を図2bに示す。この解 析でも横ずれタイプと求められ,先の解析と大差はなかった。このメカニズム は震源が活動域の先端にあるのと関連しているのかもしれない。 (横浜市立大 石原) (PS)Strike-Slip の拘束条件付きで実体波のインバージョンを行なった結 果を図5に示します。2つのサブイベントから成り,モーメントの総和は 1.6x10**23dyn.cm,メカニズム解は(φ,δ,λ)=(312,90,180)です。 (MK) 2.StackによるScS相の解析  1月15日の釧路沖地震の際,Caltechの金森先生から,ScSn相 への関心を促すFAXを頂きました。このときふと思いついたのが,わがネッ トワークの記録をStackしてみることでした。 手順は以下の通りです。 1)ScSとScS2を含む時間幅(約1200秒間)を選ぶ。 2)各観測点の記録に狭いバンドパスフィルターをかける。 中心周波数をf0,得られた記録をxj(t)(j観測点)とする。 3)y(t)= jxj(t)/xjmax によりStackする。 xjmaxは|xj(t)|の最大値 4)ScS2/ScSをf0の関数として求める。   図6に,MAJO,SGN,JIZ,TKO,HKNの記録xj(t)とそれら を足し合わせた記録y(t)を示します。f0=50mHzのところでは,Stack によるS/N比の向上がはっきり見てとれます。図7には,1月19日の日本 海の地震(h=460km)について,同様の処理をした結果を示します。こ の場合も,Stack の効果がはっきりわかります。  図8に,ScS/ScS2 を周波数の関数としてプロットしてみました。何 やら,f=30mHz付近に,Q-1のピークがありそうです。また,f>50 mHzでは,2つのイベントで異なったQ値が得られます。  今後,もう1つ,2つ例が増えれば,もっと確定的なことが言えると期待し ています。いずれまた報告する予定です。(MK) 3.2月7日の能登半島沖の遠地実体波解析 主な震源パラメタは次の通りです。 (走向,傾斜,すべり角)=(199,30,49)または(65,68,111) Mo=3.2x10**25dyn.cm (Mw=6.3)パルス幅τ=7s 深さh=7km Mo/τ**3=0.9x10**23[dyn.cm/s**3] :標準的な応力降下 図9(Noto Oki 93/2/7)